コロナ禍によって、クルマでの移動が見直されている。以前はカーシェアやレンタカーを利用していた人達も利用頻度が高まり、クルマの空き状況によって移動時刻を調整する必要が出てくるなど、利便性が低下したり、衛生面を考えて自分のクルマを所有するようになっている。
本来であれば、コロナ禍という災害によってクルマの販売はもっと落ち込んでもおかしくないハズなのに、車種によってはかなりの人気を有しているのは、そんな側面も後押ししているようだ。
そうして手に入れ、維持していく愛車をできるだけ好調を長く維持して寿命を延ばしたいものだ。
そこで、クルマの運転操作やメンテナンスを行ううえで、クルマの寿命を縮めてしまうNG行為を挙げてみた。
さて、どんな行為がNGなのか、モータージャーナリストの高根英幸氏が解説する。
文/高根英幸
写真/ベストカーweb編集部 Adobe Stock トビラ写真(Adobe Stock@maroko)
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NG行為1:駐車時Pレンジに入れただけでサイドブレーキをかけない
まずはクルマを使ううえで、必ず行なう駐車時のNG行為だ。それはAT車ならではの機能を誤解して利用しているケースである。駐車するスペースにクルマを停めたら、貴方はどのようにしてクルマから降りるだろうか。
ATのセレクターレバーをPレンジにシフトして、パーキングブレーキを引き(電動パーキングブレーキならスイッチで作動)、エンジンを停止する。
これがセオリーだが、ドライバーのなかにはパーキングブレーキを使わず、Pレンジにシフトするだけでエンジンを止め、クルマから降りてしまう人もいるのだ。だが、これは絶対にやってはいけないNG行為。
なぜならPレンジはクルマを固定するモードではなく、あくまでも変速機内部を固定する機能に過ぎないからだ。パーキングブレーキは駐車時にクルマを固定するための装置。
ところがPレンジにシフトしただけでクルマから離れてしまうドライバーも少なからずいる。
最近は電動パーキングブレーキでシフト操作と連動するタイプが増えてきたから、パーキングブレーキを自分で操作する必要がないクルマも増えてきたが、街を走る大部分のクルマは自分で操作する必要がある。
理由は人それぞれだろうが、Pレンジにシフトすればクルマは動かない、パーキングブレーキみたいなものだから大丈夫、パーキングブレーキまで掛けるのは面倒など、内容は自分勝手な解釈ばかりだ。
そりゃあオーナーだから、クルマをどう扱おうが自由だが、正しい使い方をしないツケは、いずれクルマの症状や自分が誤操作した際の事故率の高さに結び付く。
Pレンジに入れたつもりがRレンジ、すなわち後進にしてしまうとエンジンを止めてからもクルマが動いてしまうことになる。
ATの場合、トルクコンバーターを介しているため、エンジンが停止していることによる抵抗はそれほど大きくなく、内部も油圧クラッチでギアを締結しているのでエンジンを停止するとから、地面の傾斜などによりクルマが動き出してしまう場合もあるのだ。
DからNレンジにシフトして、Pレンジにシフトすることを忘れていれば、クルマはより簡単に動いてしまう。
サイドブレーキをかける習慣があれば、二重の対策になっているから、どちらかの操作を忘れても、クルマはそう簡単には動かないから、
Pレンジは、MT車の傾斜地などでの停車時に、ドライバーがサイドブレーキとともにバックギア(あるいは1速)にシフトしてクルマを固定する操作と同じ働きをするもので、AT内部をロックする機構だ。
特に日本のATは少々雑に扱っても壊れないように開発エンジニアが工夫している。
ロック機構はATのケースに組み込まれているので、ブレーキほどの強度はないため、コレだけでクルマを固定するとロック機構に力が掛かり過ぎてATが壊れてしまう可能性があることから、一定以上の荷重がかかるとロックが外れるようになっている。
そこまでの荷重は掛からないとすると、逆にロック機構の部品には掛かっているので、何年もPレンジだけで駐車していると、ロック機構の摩耗や破損を招くことも報告されている。
ちなみに駐車で進路を切り返すスイッチバック動作の際に、完全に停止せずにDからRレンジへと反対方向へギアをシフトするドライバーも多い。
これも昔はATの寿命を縮める行為だったが、今では変速機メーカーがこれくらいでは壊れないように対策を施している。
日本のAT(CVTも含む)は、燃費性能だけでなく耐久性、信頼性も超一流なのは、ズボラなドライバーに鍛えられているという要素もありそうだ。
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