世界経済の強国に君臨する中国は、世界最大の自動車マーケットと注目され久しいが、実際に販売台数はもの凄いレベルになっている。
そのいっぽうで、クルマの開発、生産など自動車産業の発展も目覚ましい。
日本メーカーは経験豊富で実績もあるため、中国の自動車メーカーよりも優れていると一般的に思っているが、実際にそうなのか? 中国メーカーは日本メーカーの脅威の存在なのか? それともすでに追い越されているのか?
日本にはなかなか情報が洩れてこない中国の自動車メーカーの現状について、国沢光宏氏が考察する。
文/国沢光宏、写真/TOYOTA、HONDA、NISSAN、VW、newspress
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今や中国はアメリカを抜いて世界一の市場
あまり知られていないことながら今や世界で最もクルマが売れているのは中国になってしまった。
2019年の販売台数をみると2580万台で、長い間1位をキープしていたアメリカの1748万台を圧倒している。
参考までに書いておくと国単位なら日本が519万台で3位。4位ドイツの402万台。5位も新興国となるインドで382万台といった状況。
いっぽう、自動車メーカーを基準にすると1位は1098万台のVWグループ。2位1074万台でトヨタグループ、3位日産グループの1015万台、4位GMグループとなり772万台。5位は現代自動車グループの719万台で、まだ中国のメーカーが入ってきていない……。
と思うのは間違い。TOP20社のウチ、5社も中国企業が入ってます。
しかも日欧米の自動車のメーカーの状況を見ると中国での販売台数が急増している。1098万台のVWについていえば中国だけで3分の1に相当する423万台!
第1期で日米欧の技術をすべて習得
さて。中国の自動車産業の戦略は、日米欧の自動車メーカーから技術を習得するというもの。具体的に説明しよう。日欧米の自動車企業は単独で中国に進出することができない。
例えばトヨタでいえば「第一汽車」と「広州汽車」という中国国営の企業(したがってオーナーは中国共産党)と折半で支出して工場進出することになります。
企業名を見ると明確。なんたって「第一トヨタ」と「広州トヨタ」。社長を含めた経営陣の人事も第一汽車とトヨタで半々。収益上がれば第一汽車とトヨタで半々になる。
日欧米の企業全てが同じ形態。驚くべきことに広州汽車はトヨタだけでなくホンダとも合弁企業を作っている。
したがって広州ホンダの工場担当者が広州トヨタの工場担当者になる人事だって普通に行われてます。メディアにすら公開しない工場の生産ライン、広州汽車の技術者はトヨタとホンダのノウハウをそのまんま抜き取れるのだった。
日本だけではない。VWは上海汽車と第一汽車と合弁を強いられ、GMも上海汽車。メルセデスと現代自動車が北京汽車等々、全てノウハウや技術を学ぶ。
それだけじゃありません。中国企業は全て中国共産党の下にあるため、広州汽車でトヨタとホンダの技術を学んだ人が、ベンツと組む北京汽車に異動することだって当たり前。
日欧米の自動車技術を全て習得していることになる。それが中国自動車産業の第1期です。
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