2020年11月11日、「クラウンのセダンが現行型で生産を終了し、2022年にSUVとして投入する」というニュースを中日新聞が報じた。
トヨタがオフィシャルでアナウンスしたものではないので、真偽のほどはわからないが、それにしても衝撃的なニュースだった。
クラウンはトヨタが1955年の初代誕生から約65年15代の伝統を持つ、日本を代表する高級セダンである。
クルマの基幹車種としてセダンを基本に、ワゴンやクーペ、SUV、近年では4ドアクーペに派生させているが、この報道の通りであるならば、基本のセダンをなくしてクラウンはSUVのみになる、というのは、時代の流れなのだろうか。
そこで、流通ジャーナリストの遠藤徹氏が本当に次期クラウンはセダンがなくなり、SUVになるのか徹底調査。「次期クラウンSUV説」の真相に迫る!
文/遠藤徹
写真/ベストカーweb編集部 トヨタ
【画像ギャラリー】次期クラウンはこうなる! 15代にわたるクラウンの変遷を写真でチェック!
クラウンセダンがなくなるというのは本当なのか?
2020年11月11日、「クラウンのセダンが生産終了し、SUVに移行」というニュースが一部報道で伝えられた。これは事実なのか?
トヨタの販売店幹部、各販売店営業マンに聞きまわったが、販売現場では問い合わせが殺到し混乱。「がせネタ」として懸命に火消しに努めている、という状況らしい。
しかし首都圏のトヨタディーラーの営業マンからは「根も葉もないことではない。これまでクラウンの生産中止説は度々流れていた」という話を聞いた。
こんな話が出てくるのはなぜか? セダン需要はここ10余年の間、急激に減少傾向にあり、高級セダン=FRという図式が崩れつつあり、FF化が進み、セダン市場そのものが先細りの状況だ。
現行クラウンは、発売1ヵ月で月販目標台数4500台の約7倍にあたる約3万台を受注し、幸先のいいスタートを切った。2018年には5万台を販売したが、2019年は3万6000台、2020年は10月までで1万8000台にとどまっている。
昭和の時代には「いつかはクラウン」だったが、平成、令和になるにつれて、レクサスブランドの台頭で、クラウンは影が薄くなっているのである。
弟分のマークXも2019年いっぱいで生産中止に追いやられた。クラウンにとっては室内が広く取れるFF車の新型カムリの登場で、ますます居場所がなくなっているのが現状だ。
2020年5月から、クラウンは従来トヨタ店の専売だったのを4系列店併売に切り替えた。
「クラウン1台売ればヴィッツ(ヤリス)10台分の収益になる」といわれ、トヨペット店、カローラ店、ネッツ店では、クラウンを取り扱えるのが楽しみなはずだった。
ところがその後のクラウンの販売推移を見ると、大幅に増えることはなく引き続き月販2000台前後にとどまる推移となっている。
2020年5月以降カローラ店、ネッツ店のショールームの窓ガラスには「アルファード、ハリアーが扱えるようになりました」という大きな文字を貼り付けてアピールしているが「クラウン」の文字はどこの販売店も掲げていないのに気付く。
「いつかはクラウン」という宣伝文句が盛んにもてはやされていたのは遠い昔のことになってしまったようである。
コメント
コメントの使い方