ファミリーカーとしてミニバンが定番となってから約四半世紀。このミニバンブームの火付け役となったホンダオデッセイが2021年末に生産終了という驚きのニュースが飛び込んできた。
1980年代は日産キャラバン/ホーミーコーチ、トヨタハイエースワゴンそしていすゞファーゴといったエンジンを運転席下に搭載したキャブオーバータイプの1BOX車が中心だった。
1990年代に入りシボレーアストロが並行輸入され、大ヒット。さらに安全向上の法規制などにより、フロントのノーズ付きのミニバンが主流となった。
現在では、トヨタアルファードを筆頭にハコ型のミニバンが主流となっているが、ミニバン黎明期の1990年代には国産各社からキャラの立った個性派ミニバンが登場していた。
そこで、ここでは平成のミニバン黎明期に憧れた個性派ミニバン3車種、三菱デリカスペースギア、初代エスティマ、そしてマツダボンゴフレンディオートフリートップを紹介しよう。
文/萩原文博
写真/三菱、トヨタ、マツダ
■三菱デリカスペースギア
まずは、1994年5月〜2007年1月まで販売された三菱デリカスペースギアだ。
デリカスペースギアは、大型ストレート&サイドメンバーを採用した、強固なビルトインフレーム構造のモノコックボディを採用。さらに従来のキャブオーバーではなく、ノーズ部に縦置きエンジンを収めるエンジンレイアウトによって、新世代の1BOXスタイルとなっている。
これにより、衝突時の衝突エネルギーを効果的に分散吸収するとともにキャビンの変形を最小限に抑えて乗員の安全を確保した。これにより、1994年から実施された自動車安全基準の一つである「時速50km前面衝突時の乗員傷害値」をクリアした。
さらに、エンジンをフロントに搭載したことによりデッドスペースがなくなり、フロントショートの足元からラゲッジスペース後端まで完全なフルフラットフロアを実現している。
これにより、室内スペースはクラス最大級を実現するとともに、前席から後席キャビンに自由に無理なく行き来できるこのクラス初のウォークスルーをも実現。
また従来にない多彩なシートアレンジメントによりドライブ中にも、停車時にも、乗る人々が様々なスタイルで快適性を感じられるように工夫されている。
デリカスペースギアに搭載されているエンジンは、最高出力185psを発生する3L V6SOHCエンジンをはじめ、2.8L/2.5L直列4気筒ディーゼルターボ。そして、2.4L直列4気筒SOHCの4種類。中でも3L V6エンジンは当時国産ミニバンの中ではハイパワーなエンジンだった。
駆動方式はFRとパジェロ譲りのスーパーセレクト4WDを採用し、4WD車は他のミニバンとは全くレベルの違う高い悪路走破性を達成していた。
1997年にマイナーチェンジを行い、内外装の変更とともにATがファジィ電子制御INVECS-IIと呼ばれる4速ATに変更された。デリカスペースギアは多彩なグレードを用意しているが、忘れてはならないのがジャスパーとシャモリーという2つの特別仕様車だ。様々な専用装備を装着したお買い得グレードで非常に人気が高かった。
現在、デリカスペースギアの中古車は約78台流通していて、平均価格は約87万円。中古車の価格帯は約30万〜約299万円と100万円台の中古車が大量に流通していて、人気が高いことがわかる。
流通している中古車で最も多いグレードは特別仕様車のシャモニーで、続いて、2005年に発売された特別仕様車のアクティブフィールドエディションとなっている。流通している中古車の多くが特別仕様車というのもかなり珍しいケースだ。
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