トヨタのコンパクトSUV、ヤリスクロスはデビューから1年が経過するが、自販連データによる7月の販売台数はヤリスシリーズ全体でナンバーワン。シリーズの販売台数のなかでおおよそ半分がヤリスクロスなので、今でも絶好調の売れゆきだ。
しかも、トヨタのコンパクトSUVとあって昨年8月の発売前から「売れるのは間違いなし」という前評判もあったが、それほどまでにヤリスクロスは売れて当たり前のSUVなのか?
デビューから1年が経つヤリスクロスを今、再検証した。
文/渡辺陽一郎
写真/ベストカー編集部
■ライバルの生産限界も順位を後押し?
クルマにはさまざまなカテゴリーがあるが、今はSUVの人気が高い。15年前のSUVの売れゆきは、新車として売られる乗用車の10%以下だったが、今は25%を占める。
特に注目度が高いのは、運転しやすく価格も割安なコンパクトSUVだ。新型車の投入も活発で、2019年にはライズ&ロッキーとCX-30。2020年にはキックス、ヤリスクロス、MX-30。2021年にはヴェゼルも発売された。
これらのコンパクトSUVのなかで、最も多く販売されている車種がヤリスクロスだ。2021年1~7月の登録台数は、1カ月平均で約9500台に達する(ヤリスとGRヤリスを除く)。
ライバル車のヴェゼルは、2021年4月に新型を発売して人気を高めたが、狭山工場の閉鎖が決まって生産工場を鈴鹿製作所に移した。鈴鹿ではN-BOXをはじめとするNシリーズやフィットも生産するため、増産にも限界がある。
そのためにヴェゼルの登録台数は、現行型になって最も多い2021年7月でも7573台だ。販売計画の1カ月当たり5000台は上まわったが納期は長い。販売店によると「大半のグレードが半年で、PLaYは今でも約1年を要する」という。
順調に生産できれば、ヤリスクロスよりも登録台数が多くなった可能性もあるが、実際は約2000台少ない。
このような経緯もあり、SUVの販売1位はヤリスクロスだ。2020年の発売から同年12月までは、ライズの登録台数がヤリスクロスよりも多かったが、2021年に入るとヤリスクロスが一貫してSUVの販売1位になった。そこで発売後1年を迎えたヤリスクロスの商品力を改めて検証したい。
コメント
コメントの使い方