ついに2022年、日産・三菱連合による軽EV(=電気自動車)が発表されるという。現在、日本車で「買えるEV」といえば、日産リーフにホンダe、マツダMX-30 EV、レクサスUX300e、そして日産アリアと、ちょっとお高いモデルばかり。この新型軽EVが出れば、一気にEV普及が進むのでは? と心躍らせる人もいるだろう。
現在、欧米においてEVはセカンドカー需要が主となっていて、それは日本でも同様になるはず。つまり、地方の複数台所有地帯で近所の足として使える安い軽EVは、今のところ最も有望と考えられるのだが、はたして実際はどうなることか。
今回は、日本と海外でのEVの販売分析を踏まえつつ、この先、日本で求められているEV像について、そして日本で国産EVが普及するための策について、清水草一氏が考察した。
文/清水草一 写真/本田技研工業、日産自動車
【画像ギャラリー】現行&今後出る国産EV 全7車種を写真で見る!!(7枚)画像ギャラリー■EVは「地方のセカンドカー」として最も普及?
間もなく総選挙だ。新総理となった岸田文雄氏は、政策理念として「成長と分配」を掲げている。それが実現すれば言うことはない。問題はできるかどうかだ。日本の自動車業界にも、成長と分配が必要ではないだろうか! つまり、成長しそうな分野に、そうでない分野から分配する必要がある。具体的には、EVへの分配である。
現在、EVには政府から補助金が出ているが、補助金というのは税金なので、予算の枠がある。枠を超えたらそれで終わりだ。つまり、EVがある程度売れるようになったら、補助金なんてもうほとんど出せなくなる。しかし、燃費の悪いクルマからEVへ「分配」すれば、かなり長期間、EVの普及を後押しできる。
私は、現状のリチウムイオン電池を使ったEVに関して、日本で普及が望めるのは、航続距離が短めの軽自動車サイズではないかと思っている。つまり、地方のセカンドカーだ。地方は一戸建て(車庫付き)の割合が高いので、都市部よりずっと有望だ。
欧米では、複数台所有が当たり前で、現在EVに乗っている人(≒比較的豊かな層)は、たいてい内燃エンジン車も所有している。通勤用など短距離はEV(欧州では会社支給のカンパニーカーの割合高し)、長距離は内燃エンジン車と使い分けているのだ。よって、充電の多くは自宅や通勤先で行われ、急速充電のニーズはどれほど高くない。
日本だって、地方では複数台所有が当たり前。通勤用など短距離の利用ならEVで充分だし、ガソリンスタンド過疎地帯では、自宅で充電できるEVのほうが便利だ。安価な軽EVが出れば、かなりの需要があるはず。政府はそこを後押しすべきではないだろうか!?
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