スーパー耐久選手権に「カローラH2コンセプト」が参戦して1年。「ラリー親方」こと自動車評論家 国沢光宏氏がGRヤリス H2conceptに試乗! パワーもトルクもベースとなるGRヤリスの1.6Lターボを上回るまでになったというが!? その真価と現在地を問う!
※本稿は2022年6月のものです
文/国沢光宏、写真/TOYOTA、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2022年7月26日号
■水素タンクのリアシート部分への搭載が通常のGRヤリスとの唯一の違い
トヨタがスーパー耐久レースで走らせている水素エンジンを搭載したGRヤリスの試作車に試乗した。
写真を御覧いただいてもわかるとおり、左ハンドル以外運転席は通常のGRヤリスとまったく同じ。エンジンルームも同じ(編集部註:これらの写真については画像ギャラリーを参照ください)。リアシート部分に水素タンクを搭載しているのが唯一の違い。
この状態で市販しても問題ないそうな。だからこそ水素エンジン車の販売を考えているのだろう。弱点は航続距離の短さだけらしい。
エンジン始動も通常のプッシュボタン。短いクランキングで火が入る。ブリッピングしてみると、ガソリンエンジンより乾いた燃焼音です。
1速にシフトしてクラッチミートすると、しっかり低速トルクが出ており気持ちよ~く走り出す。アクセル全開にすると、やはり乾いた燃焼音だ。音質としちゃ高い。ガソリンを「ブー」だとすれば「カー」みたいなイメージです。
トルク感は同等かそれ以上。絶対的な出力も同様と聞いた。
少しばかり驚いたのは試乗車がラリースペックだったこと。前後LSD付き。サイドもバリバリに効く。
貴重な試作車のため丁寧な扱いを要求されるかと思っていたが、特に制約なし。6千回転でリミッターを稼働させている程度。
そんじゃそれなりに走らせてみましょう、ということで短い試乗コースながらパイロンでサイドターン決めてみた! けっこう走り込まれているらしく、サイドターン時のコントロール性よし!
4WD車でサイドターンをした場合、流れを止めるのはアクセルです。駆動力掛けると横滑りから加速に移る。
水素エンジンで「へぇ!」だったのがアクセル開けてからトルク出るまでのレスポンス。アクセル開けた瞬間にトルクが出る!
後で聞いたら燃焼速度がガソリンの8倍と早いため、すぐパワー出るそうな。
結果、コントロール性は抜群にいい。スーパー耐久レース仕様のカローラも乗りやすいと聞くけれど納得です。
●GRヤリスを100点とすると…GRヤリスH2conceptは150点!!!
※クルマの出来ではなく意欲の評価。
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