東京都でバイクの死亡事故が急増! 重要な胸部プロテクターが普及しない意外なワケ

胸部プロテクターの装着率はわずか9%未満

胸部プロテクター着用率は微増傾向だが、低調。2022年にライダー3174人を対象に行った結果、着用率は0.3%増の8.9%だった。※表は警視庁HPより
胸部プロテクター着用率は微増傾向だが、低調。2022年にライダー3174人を対象に行った結果、着用率は0.3%増の8.9%だった。※表は警視庁HPより

 この数年、ヘルメットと同様に胸部プロテクターの重要性が盛んに叫ばれている。しかし装着率は年々微増しているものの、依然として低いままだ。

 警視庁では例年、ライダーを対象に着用率の調査を実施しているが、最新の結果でも着用率は8.9%と低い。

 着用プロテクターの種類を聞いたところ「ウェア内蔵型」が51.8%と最多で、「ハードタイプ」が44%、「エアバッグ式」が4.3%だった。

 ウェア内蔵型はソフトなウレタンタイプが多く、中央で分割されたセパレートタイプが一般的。ウレタンタイプのプロテクターは極低速時こそ効果はあるが、速度を出した状態や対クルマでの事故の場合、あまり保護性能を期待できない。万一の際を考えれば、ハードタイプ(できれば中央のすきまがないタイプやジョイント型)か、エアバッグを選びたいものだ。

 ハードタイプは、欧州の統一基準である「EN規格(CEマーク)」のあるものや、同等の性能を持つ国内の「JMCA推奨 胸部プロテクター規格」マークがある製品を選ぶと安心だ。

普及しない理由は「装着が面倒」「値段が高い」だが……

体に装着する胸部プロテクターならジャケットを選ばず、防護性能を高められる。写真はコミネ製のバイク用チェストアーマー SK-629 453。実勢価格4000円以下だ
体に装着する胸部プロテクターならジャケットを選ばず、防護性能を高められる。写真はコミネ製のバイク用チェストアーマー SK-629 453。実勢価格4000円以下だ

 なぜ、ここまでライダーに普及が進んでいないのか。警視庁では、この理由に関しても調査しており、「着用が面倒」が40.6%と最多。「値段が高い」(20.9%)、「プロテクターを知らない」(10.4%)、「格好が悪い」(2.4%)、「その他」(25.8%)が続いた。

 筆者もライダーなので、これらの理由もわかるが、いくら面倒で高価だったとしてもやはり命には換えられない。現在は、ジャケットに関わらずベルトタイプで体に着けるハードタイプも4000円前後で出回っている。この程度の金額で命を守れる可能性が高まるなら、安いものではなかろうか?

 ――ゴールデンウィークに突入し、連日のように各地でバイクの死亡事故がニュースで報道された。バイクの死亡事故が増えているのは都内のみならず、全国的な傾向で、二輪乗車中の死者数は前年同月比16人増の92人となっている(2023年3月末現在)。

 警視庁のように胸部プロテクターの有無など詳細な統計は恐らく存在しないだろうが、各都道府県警を束ねる警察庁にも二輪事故に関して追加取材する予定だ。

 梅雨に入るまで、絶好のバイクシーズンが続く。胸部プロテクターをしていないライダー諸氏はぜひ導入を検討してほしい。

【画像ギャラリー】胸部プロテクターの普及率はたったの8.9%、詳細な統計を見る!(10枚)画像ギャラリー

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