近年、自転車による事故が増加し、深刻な問題となっています。これに対応するため、多くの保険会社が自転車事故の補償を強化し始めました。自動車保険でも保険改定により自転車による事故で自分自身への補償面が改善されています。自転車事故にどのような補償が提供されるのか、その背景と重要性について考察していきましょう。
文:佐々木 亘/画像:AdobeStock(トップ写真=tashechka@Adobestock)
【画像ギャラリー】自転車起因の事故や傷害に対応! 自動車保険の改定から見える自転車事故の拡大(3枚)画像ギャラリー「自転車だから大丈夫」という気持ちが重大事故に繋がっている
警視庁によると、自転車関連事故件数及び自転車乗用中の死者・重傷者数は減少している一方で、全交通事故に占める構成比は近年増加しています。その理由としては、利用者の増加、電動アシスト自転車の普及、交通インフラの整備不足、交通ルールの不徹底など、複数の要因が挙げられます。
これらの要因に対して、道路整備の充実や自転車利用者への交通ルールの周知徹底が求められていますが、即解決できるものではありません。
なかでも、自転車が加害者となる事故を一般社団法人日本損害保険協会のデータで見ると、最も多い違反が「安全運転義務違反」で全体の半数を超えています。
続いて「一時不停止」「交差点安全進行義務違反」「信号無視」などの順となっており、これらを見ても「自転車だから大丈夫」という気持ちでの運転が目立つ結果に。こうした気持ちが、重大事故へ繋がっていきます。
筆者は過去に、自転車(高校生)と歩行者(高齢者)の事故を取り扱いました。事故によって歩行者は負傷し半年以上通院をすることになり、治療費は保護者が加入していた個人賠償責任保険で補償しました。
自転車事故でも加害者になれば賠償責任が生じます。たとえ未成年でも、この責任からは免れることができません。
【画像ギャラリー】自転車起因の事故や傷害に対応! 自動車保険の改定から見える自転車事故の拡大(3枚)画像ギャラリー自転車事故もカバー! 進化する自動車保険の安心補償
重大な自転車事故が増加するなか、損害保険会社は自転車事故に対応するための補償を、自動車保険に組み込む動きを進めてきました。2024年1月、大手損害保険会社の改定で、人身傷害保険にある他車搭乗中及び自動車事故補償特約が拡充されています。
人身傷害保険は、これまで自動車事故に限定されていましたが、改定により人身傷害の他車搭乗中および車外自動車事故補償特約を付帯すれば、自転車に乗っている際の事故にも対応できるようになりました。
もし自身が自転車事故でケガをした場合でも、治療費や通院費などが補償され、包括的なサポートを受けることが可能です。
自転車事故が原因で発生したケガに対しても、この特約を利用することで契約者だけでなく同居の家族も補償を受けることができ、より広範なリスクに備えられる保険制度が整備されています。
自転車事故の増加が社会問題化するなか、保険会社はこのように柔軟に対応を拡充しており、自転車を利用する人にとっての大きな安心材料となっているのです。
【画像ギャラリー】自転車起因の事故や傷害に対応! 自動車保険の改定から見える自転車事故の拡大(3枚)画像ギャラリーリスクに備え自動車保険と個人賠償保険で安心の毎日をサポートしよう!
今回の改定により、万が一自転車事故が発生しても、適切なサポートを受けることが可能になっています。自転車を利用する人にとっては、個人賠償責任保険とあわせて、自動車保険の特約を検討することで、安心感がさらに高まるといえるでしょう。
これにより、保険契約者は、日常生活や移動中におけるさまざまなリスクに対して包括的な備えを持つことができ、事故発生時の負担を大幅に軽減することが可能になります。
自転車も立派な車両です。この機会に自動車保険の内容を確認し、自転車事故への対応を勧めましょう。相手と自分のどちらにも、十分な補償ができるように、保険を契約しておく必要があります。
自転車に乗る前に、まずは自動車保険の補償内容の見直しを。
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