2030年の純ガソリン車新車販売禁止 もし東京都内への乗り入れ規制が始まったらどうなる?


■海外主要都市での乗入れ規制の現状

2035年の純ガソリン車の新車販売禁止 今後は都市部の乗り入れ規制が始まるのか?
フランスではすべての車両にクリテール(Crit’Air)という汚染物質の排出量に応じて6種類に分類されたステッカーを貼ることが義務付けられている(出典:フランス環境連帯移行省)

 ロンドン以外の欧州主要都市でも乗入れ規制が導入されている。フランスではすべての車両にクリテール(Crit’Air)という汚染物質の排出量に応じて6種類に分類されたステッカーをフロントガラスに貼ることが義務付けられている。

 クリテール4、クリテール5はそれぞれディーゼル車のユーロ3基準(2001年から2005年登録)、ユーロ2基準(1997年から2000年登録)を指し、また1996年以前登録のクルマはガソリン、ディーゼル問わずステッカーがもらえない。

 現状月曜日から金曜日8時から20時までに拡大パリ圏を通行できる乗用車はクリテール4まで(2021年6月からはクリテール3まで)、パリ中心部を通行できるのはクリテール3までのみ。違反すると68ユーロ(約8800円)の罰金が課せられる。

 2022年からはさらに厳格になり、拡大パリ圏、パリ中心部ともクリテール2(ガソリン車ユーロ4基準、ディーゼル車ユーロ5基準)、2024年にはクリテール1(ガソリン車のみ、ユーロ5基準)までのクルマしか通行できなくなる。

 公共交通機関が発達していてクルマの所有率が4割以下というパリでは2024年にはディーゼル車が、2030年にはガソリン車の乗り入れが禁止される。

 ドイツではクルマの汚染物質の排出量に応じて赤、黄、緑の3段階に分けられた環境ステッカーを貼ることが義務付けられており、緑のステッカーの貼ってあるクルマ(ガソリン車でユーロ1基準、ディーゼル車でユーロ4基準もしくは粉塵フィルター付きユーロ3基準以降)は全ての低排出ゾーンに指定されている都市を通行することができる。

 またベルリン、ハンブルグ、ダルムシュタットにてユーロ6基準を満たさないディーゼル車が走行できない区域が限定的ではあるが設けられた。ダイムラーやポルシェが本社を置くシュツットガルトではユーロ5基準を満たさないディーゼル車は市内全域に乗り入れることができない。

 イタリアでは州によって規制が異なるが、たとえばミラノではガソリン車でユーロ1基準(1992年12月登録以降)、ディーゼル車でユーロ3基準以降のクルマしか月曜日から金曜日の7時半から19時半までの間は通行できない。

 スペインではDGT(スペイン交通局)環境ステッカーを貼ることが義務付けられており、首都マドリードの低排出ゾーンであるマドリード・セントラルにはガソリン車でユーロ3基準、ディーゼル車でユーロ4基準を満たさないと乗り入れることができない。

 バルセロナ市内には上記基準を満たさないクルマは月曜日から金曜日の7時から20時に乗り入れることはできない。

 環境問題をテコにして域内の経済活性化を目指しているEUやイギリスではやはり乗入れ規制が厳しくなってきていることが分かる。

 アメリカではバイデン政権に代わって環境問題が再びフォーカスされるようになってきているが、カリフォルニア州にてゼロ・低排出車専用レーンが存在するものの、都市への流入規制はこれまでのところない。

■東京に乗入れ規制が発動される可能性はあるか?

2035年の純ガソリン車の新車販売禁止 今後は都市部の乗り入れ規制が始まるのか?
現実的に東京中心部への車両乗り入れ規制はできるのだろうか?(Adobe Stock@Paylessimages)

 仮に東京中心部に乗り入れ規制が導入された場合、規制対象となる排出量の多いクルマで乗り入れた場合の罰金はいくらぐらいになるのだろうか。

 乗用車の場合ロンドンでは160ポンド(約2万4000円)だが、パリでは68ユーロ(約8800円)の罰金。車両進入禁止の標識があるところに進入してしまう通行禁止違反の反則金が普通車で7000円であることを考えると、やはりそれに近い罰金になる可能性が高いものと思われる。

 ロンドンで行われているナンバープレートを自動認識する取り締まり方法が最も不公平感がなく効率もいいだろう。

 だが実際に乗り入れ規制を近く東京に導入するのは現実的には難しい。最も規制の厳格なロンドンやその他の欧州の都市では深刻な大気汚染の健康への悪影響と渋滞の問題があったため、世論の強い支持を得ることができた。

 現在の東京にはもちろんそれらの問題がないとは言わないが、古いクルマを所有する人に不便と経済的な負担を強いることになる乗り入れ規制に今すぐ多くの支持が集まる状況とはいいがたい。

 したがって乗り入れ規制よりも純ガソリン車、純ディーゼル車の新規登録・販売を停止する政策を推進していく方向が維持されると考えられる。

 2035年(東京では2030年)が近づくにつれ、電動車以外の登録済みのクルマに対しては現在排気量に応じて決められている自動車税が排出量ベースとなり、排出量の多いクルマに対しては大幅な増税が行われる可能性が高く、低排出車への乗り換えサポートなどの政策が検討されるだろう。

 また、温室ガスの排出を日本全体としてゼロにする目標の2050年に近づくにつれ、2035年以降は電動車以外のクルマの車検更新ができなくなったり、都市中心部への乗入れ規制が始まって、実質的に電動車への乗り換えが強制されるようなことも起きるかもしれない。

【画像ギャラリー】ロンドンの乗り入れ規制標識と東京都が発表したゼロエミッション東京戦略2020 Upgrade and Report

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