■東京に乗入れ規制が発動される可能性はあるか?
仮に東京中心部に乗り入れ規制が導入された場合、規制対象となる排出量の多いクルマで乗り入れた場合の罰金はいくらぐらいになるのだろうか。
乗用車の場合ロンドンでは160ポンド(約2万4000円)だが、パリでは68ユーロ(約8800円)の罰金。車両進入禁止の標識があるところに進入してしまう通行禁止違反の反則金が普通車で7000円であることを考えると、やはりそれに近い罰金になる可能性が高いものと思われる。
ロンドンで行われているナンバープレートを自動認識する取り締まり方法が最も不公平感がなく効率もいいだろう。
だが実際に乗り入れ規制を近く東京に導入するのは現実的には難しい。最も規制の厳格なロンドンやその他の欧州の都市では深刻な大気汚染の健康への悪影響と渋滞の問題があったため、世論の強い支持を得ることができた。
現在の東京にはもちろんそれらの問題がないとは言わないが、古いクルマを所有する人に不便と経済的な負担を強いることになる乗り入れ規制に今すぐ多くの支持が集まる状況とはいいがたい。
したがって乗り入れ規制よりも純ガソリン車、純ディーゼル車の新規登録・販売を停止する政策を推進していく方向が維持されると考えられる。
2035年(東京では2030年)が近づくにつれ、電動車以外の登録済みのクルマに対しては現在排気量に応じて決められている自動車税が排出量ベースとなり、排出量の多いクルマに対しては大幅な増税が行われる可能性が高く、低排出車への乗り換えサポートなどの政策が検討されるだろう。
また、温室ガスの排出を日本全体としてゼロにする目標の2050年に近づくにつれ、2035年以降は電動車以外のクルマの車検更新ができなくなったり、都市中心部への乗入れ規制が始まって、実質的に電動車への乗り換えが強制されるようなことも起きるかもしれない。
【画像ギャラリー】ロンドンの乗り入れ規制標識と東京都が発表したゼロエミッション東京戦略2020 Upgrade and Report
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