運転中にふとバックミラーを見ると、後続車がやたら接近しているという経験はないだろうか。こうなったら前に行かせるのが得策だが、前走車に不快感を与えるのは、いわゆる「あおり運転」にあたるといえるだろう。そして2020年の法改正で「あおり運転」は厳罰化された。
例え前の車を急かすつもりがなかったとしても、車間距離をつめすぎれば、あおり運転と誤解される恐れがある、今回は「あおり運転」と誤解されないための注意点についてまとめてみた。
文/藤田竜太
写真/AdobeStock(トビラ写真=metamorworks@AdobeStock)
■厳罰化されたあおり運転に相当する違反行為とは?
2020年6月の道路法改正で「妨害運転罪」が設けられ、厳罰化されるようになったあおり運転。
下記の10の類型がその違反行為になる。
【1】通行区分違反(対向車線へのはみ出し)
【2】急ブレーキ禁止違反(緊急時を除く)
【3】車間距離不保持(車間距離の詰めすぎ)
【4】進路変更禁止違反(急な進路変更)
【5】追越し違反(無理な追い越し)
【6】減光等義務違反(ハイビームやパッシング)
【7】警音等使用制限違反(クラクションの誤用・多用)
【8】安全運転義務違反(幅寄せ、蛇行運転)
【9】最低速度違反(ノロノロ運転)
【10】高速自動車国道等駐停車違反(高速道路での駐停車)
これらの違反を行い、交通の危険の恐れがある場合「3年以下の懲役または50万円以下の罰金、違反点数25点 免許取消し」という非常に厳しい罰則が適用される。
しかし、これらの行為は、具体的な基準があるわけではなく、かなりの部分が主観に委ねられているものなので、自分はあおる気などさらさらなくても、相手は「あおられた」と思う場合もある。
また自分があおり運転の被害に遭ったときも、「おまえが先にあおってきたから、やり返しただけだ」などと主張されることは珍しくない。
そこで、「あおり運転」と誤解されないための対策をいくつか考えておこう。
■車間距離を正しく保つ
あおり運転と聞いて最初にイメージするのは、車間距離を詰められること。前走車と自車の適正な間隔は、距離(m)ではなく時間で考えるのがベスト。
実験結果と統計的事実から車間時間は2秒が適切といわれている。つまり50km/hなら27.8m、100km/hなら55.6mと、いま走っている速度=秒速の2倍の距離をキープするのが基本。それ以上、前車に接近すると「あおっている」と思われかねない。
また、同じ距離でも車体が大きなクルマは、より接近して見えるので、大型車はもちろん、ミニバンやSUVなどは、コンパクトカーやセダンよりも、広めの車間距離をとった方がいい。
さらに、ボディカラーが進出色の赤やオレンジなどのクルマも、実際より近くにあるように見えるので要注意。
■ライトをきちんと調整する
ライトがまぶしいクルマもあおっていると誤解されやすいので注意が必要。自分では気がつきにくいかもしれないが、ライトの光軸が狂っているクルマは、周囲にまぶしい思いをさせているので気をつけたい。
光軸は車検の際に必ずチェック・調整される項目だが、何かの拍子にずれることがある。できればときどきライトを点けた状態をクルマの外から見て、光軸に異常がないか確認しておくと安心だ(バンパーをヒットしたり、擦ったりした場合はとくに! バンパーが変形していなくても、一度整備工場で光軸の検査を受けておこう)。
また荷物を満載したときも、ヘッドライトの光が上向きになるので要注意。
2006年(H18年)以降に製造されたクルマは、レベリング機能が義務化されていて、ライトの向きを自動調整してくれるオートレベリングのクルマなら問題ないが、マニュアルレベリングのクルマは調整が必要。
マニュアルレベリングのクルマには、ライトの光の高さを0〜4までの5段階に手動調整するダイヤルがついているので、人や荷物が満載のときは、このダイヤルを使って光を下向きにするのを忘れずに(「0」がノーマルで、「4」がもっとも光が低くなる)。
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