運転免許試験をクリアしたのは遠い昔……。免許更新の時に講習は受けてはいるが、忘れてしまっている交通法規はてんこ盛り! ここで、学科試験にはよく出題されるにもかかわらず、忘却の彼方に消え去りがちな交通法規を紹介していきたい。「えっ、そうだったの!?」とびっくりするような交通法規もけっこうあるはずだ。
文/室井 圭、写真/写真AC
【画像ギャラリー】忘れちゃってる可能大の道交法をチェック(17枚)画像ギャラリー過労運転は無免許運転と同等の罰則が科せられる
過労運転よりも無免許運転のほうが違反点数は大きいという問題が運転免許試験で出題されることがある。ここで、〇か×かを考えてほしい。答えは×。実は、この問題は正解率は20%程度という引っ掛け問題なのだ。
居眠り運転などによる重大事故を招く「過労運転」。道路交通法第66条第1項において「何人も、過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない」と定められている。
過労運転は過失、無免許運転はほぼ確信犯というイメージが強いことから、過労運転のほうが軽微なのでは? と思われがちだが、違反点数は無免許運転と同じ25点。つまり免許取り消しだ。加えて、3年以下の懲役または50万円以下の罰金も科せられると、罰則も無免許運転の場合も同じだ。
ただし、あくまでも疲れの度合いは運転手の自己判断に委ねられている。疲れの感じ方にも個人差があるので難しい判断と言えるが、少しでも過労気味で安全な運転ができそうにないと感じた場合は、可能な限り運転を控えることが賢明だ。
ちなみに、業務中に過労が原因で事故を起こしたと立証された場合、事故を起こした本人を雇用していた事業者にも安全確保を怠ったとして、3年以下の懲役または50万円以下の罰則が科せられる。
交通弱者である歩行者はどのような場合でも保護される
歩行者がいるにもかかわらず、停止もスピードも落とすことなく走り過ぎるクルマは数多い。日本自動車連盟(JAF)の「信号機のない横断歩道での歩行者横断時における車の一時停止状況全国調査2020年」によると、歩行者が横断歩道を渡ろうとしている時に一時停止した車両はわずか21.3%という実態が明らかに!
しかし、横断歩道や自転車横断帯においては歩行者が絶対に優先。つまり、走り過ぎた時点で「横断歩行者等妨害等違反」として取り締まりの対象となるのだ。
ちなみに、横断する人や自転車がいないことが明らかであっても、飛び出しなどの不測の事態に備えて、横断歩道や自転車横断帯の手前で停止できるように速度を落として走るようにも定められている。あくまでも道路は歩行者が優先なのだ。
違反した場合は、罰則は3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金、反則金は大型車1万2000円、普通車9000円、違反点数は2点が科せられる。
ただし、幹線道路などのように交通量が多く、さらに横断歩道ではないところを危険を顧みず横断している歩行者がいた場合には基本的には停止の必要はないとはされている。停止をすると逆に後続車の追突事故などを招く危険があるからだ。
とはいえ、停止をせずに人身事故を起こしてしまったら、運転者は前方の安全確認義務を怠った、適切な運転操作により事故を回避する義務を怠ったなどの理由から、運転者の過失がゼロとなる可能性は限りなく低い……。
これは相当モヤモヤするが、歩行者は交通弱者として扱われるため、仕方がないのだ……。
もちろん、歩行者に対しても「歩行者は、道路標識等によりその横断が禁止されている道路の部分においては、道路を横断してはならない」という規定は定められている。無謀な横断をした歩行者は取り締まりの対象になり、2万円以下の罰金または科料という罰則が設けられている。
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