近年、CO2(二酸化炭素)排出量の増大が世界的に問題視されている。我々の生活にとってなくてはならない自動車だが、主要なCO2排出源のひとつとして標的にされている。そういった現状のなか、世界の自動車メーカーがCO2排出量削減への取り組みを加速させている。
自動車の在り方が世界的に議論されているなか、脱炭素化の流れが今後どのようになっていくのかは、クルマ好きなら目を離せないトピックスと言える。ここからは、CO2がもたらす影響、EV普及の現状などを考えていきたい。
文/関谷明日香、写真/写真AC、イラストAC
【画像ギャラリー】内燃機搭載車に乗れるのは、あとわずか!?(14枚)画像ギャラリーなぜCO2が問題視される?
なぜCO2は地球温暖化の主犯扱いされているのだろうか? 地球温暖化の主な原因とされている温室効果ガスの大半をCO2が占めているからだ。全国地球温暖化防止活動推進センター(JCCCA)の「人為起源の温室効果ガス総排出量に占めるガス別排出量の内訳」によると、人類が発生している温室効果ガスの76.0%がCO2だという。
温室効果ガスには他に、メタン、一酸化二窒素、フロンガスなどがあるが、CO2の占める割合は圧倒的だ。
CO2がもたらす悪影響とは?
まず身近に感じられるのは、気温の上昇だろう。地球の平均気温の上昇はさまざまなことに悪影響を及ぼす。
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第5次評価報告書によると、1880年~2012年の期間に0.85℃ほど平均気温が上昇しているという。たかが0.85℃と思う人も多いだろうが、それは間違い。0.85℃上昇するだけで、海面上昇、干ばつや洪水を引き起こす極端な気象変動を発生させてしまうのだ。
実際、世界中で砂漠化する大地の拡大が深刻化している。また、国土の平均海抜は2~3mという南太平洋に位置する小国ツバルは、海面上昇の影響により、首都の約4割が海面下に沈んでしまっている。
先日のアメリカで発生した超巨大竜巻やドイツで発生した大洪水が顕著な例だが、近年のこういった自然災害も気温上昇による影響と言われている。また、異常気象によって農作物や家畜の生産力も減少し、直接的に我々の生活に直接影響を及ぼすことになる。
クルマだけが悪者なのか!?
では、なぜクルマがターゲットとなっているのか?
国土交通省の発表によると、2019年度における日本のCO2排出量(11億800万トン)のうち、運輸部門からの排出量(2億600万トン)は18.6%を占めている。運輸部門とは、クルマの他に、航空、鉄道、船舶なども含まれる。
さらに、運輸部門のなかでも自家用乗用車の排出するCO2の占める割合は45.9%、自家用貨物車は16.5%。つまり、自家用乗用車や自家用貨物車がすべてゼロエミッション車になるだけで日本の運輸部門のCO2排出量の半分以上が減るということになる。
しかし、日本全体のCO2排出量の残り81.4%は、家庭や工場、オフィスなど、他の排出源から排出されているということになる。ということで、クルマだけが悪者にされることに異論を唱える声があるというのも事実だ。
ちなみに、クルマの排気ガスにはCO2の他にも、CO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)、NOx(窒素化合物)、粒子状物質(PM)、など、環境破壊に直結する有害ガスが含まれていることも問題視されている理由のひとつだ。
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