2022年のF1 18インチ化でなにが変わる? パワーダウンを狙ったE10燃料とは

■足回りは18インチ化だけではなく、サスペンションにも規制変更が

 2022年、今年からF1は今までと違った振動形態を想定したサスペンションが必要になる。また前後サスペンションともに、サスペンションのアッパーアームのマウントブラケットに規則変更があり、これまでの様な上方へのエクステンションは規制され、ごく通常のダイレクトマウント方式になる。したがってこれまでの様な特殊なサスペンションアーム様式ではなく、見た目にはスタンダードなアーム構成になりそうだ。ただしこれはあくまでも予想で、マウント方式が規制されているだけでジオメトリーはもちろん自由であり、サスペンションの構成も自由だからどんな形になるかは新車を見てのお楽しみだ。

 この規則もまたサスペンションアームが後方エアロを乱す渦流の増加に繋がるのを抑えるためだ。

2022年はサスペンションの一部が変更になる。サスペンションの構成も自由だからどんな形になるかは見てのお楽しみだ。写真は2020年メルセデスAMG W11
2022年はサスペンションの一部が変更になる。サスペンションの構成も自由だからどんな形になるかは見てのお楽しみだ。写真は2020年メルセデスAMG W11

  18インチタイヤは構造もコンパウンドも異なり、グリップだけでなく温度制御・管理もピレリのデータからシミュレーションはできているはずだが、データが豊富であったこれまででさえ、その制御・管理は難しく、各チームとも頭を悩ましてきたところなのだ。

 そうなると若干でも有利なのは、例えばタイヤ開発に協力してきたアルピーヌだ。ルノー自体がF2にも係わっており、データは多少なりとも手持ちは多いかもしれない。

  タイヤ管理とエアロは重要な関係にあり、ダウンフォースと出力デリバリーのバランスを走行状況に応じて巧みに制御管理できなければ、異常な温度変化をもたらす。特にハイパワー化している昨今、リアタイヤのオーバーヒートやフロントタイヤの冷え過ぎ等、様々な現象を引き起こしてタイヤを痛めてしまう。

 昨年タイヤの温度管理に苦労したメルセデス、もちろんその苦悩はトップエンドでの話だが、タイヤ管理とその交換作戦で昨年のチャンピオンシップを逃している。今シーズン、新規則下のW13でどこまでその制御・管理を向上させるのか?

 また昨年まではグリップ管理に長けたレッドブルだが、新エアロ規則下でどこまでその優位性を保って行けるか?

 そして、他チーム以上に時間をかけて開発をしてきたフェラーリの復活はあるのか? などなど興味は尽きない。

■10%のエタノール含有に改正されたE10燃料とは

  2022年はエアロだけでなくPU的にも大きな変化があった。PU自体の規則変更は幾つかのセンサーに及び、そして計測器等の増設があった。燃料流量の計測やチャージ温度センサーなどが新規則で強化されている。これらは以前の記事で触れた2019年のフェラーリ、2021年のメルセデスの不正疑惑問題などが絡んでの測定強化かもしれない。

 これに加えてPU的にもっともセンセーショナルな規則変更は燃料問題だ。これまでの燃料規制により欧州規定のE5燃料であったものが、今シーズンからE10へと変更されるのだ。Eとはエタノール(アルコール)の含有率を表している。昨年までは5%、今シーズンからは10%のエタノールの含有が強制されている。これらはバイオ燃料で、それも穀物等の農産物からの精製ではなく、有機廃棄物(余剰食品や食品廃棄物など)などからの再生燃料である事が条件だ。

 E10は既に日常では流通しており、欧州のレギュラー燃料は既にE10とされているのだ。したがってE10関連のノウハウは各PUメーカーとも充分に持っているのだが、これがハイパワーの維持と燃料消費率の維持を考えるとこれまでのE5とは大分異なってくる。消費率が悪ければレース中の燃料セーブやパワーデリバリーの組立に大きく関わってくる。エアロでの接近戦は面白いが、中盤~終盤の燃料セーブ走行は見たくない。PUメーカーがこれをどう対処してくるかが見所だ。常に燃料消費ではリーダーシップを握ってきた日本の技術、ホンダは第二期ターボ時代もこの燃料消費で天下を取っている。果たして2022年のPU戦線では如何に?

次ページは : ■グランドエフェクト化とPUパワーの格差も縮まり多くのバトルが生まれるか?

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