■エンジンのパワーがあるないに関係なく、意図した通りに走ってくれるマツダ車
そう、これはハンドルだけでなくアクセルの応答性も深く関わっていて、このくらい加速したいとか、前に進みたいというドライバーの意図=アクセル操作にきちんと反映されています。
マツダのクルマがエンジンのパワーがある、ないに関係なく、自分の意図どおりに走ってくれる感覚が強くあるのは、この応答と加速度の関係をきっちり作りこんでいるからなんだろうと思います。
エンジンに関しては、マツダ3は現在3タイプのエンジンを選ぶことができます。ボクが選んだのは先にも触れたようにSKYACTIV-Xです。火花点火制御圧縮着火というエンジンの爆発のさせ方です。
高圧縮比によって燃料(ガソリン)が一気に自然着火するのを利用したエンジンで、その燃焼の始まりを安定させるために火種をきっかけ(点火制御)にしているというエンジンです。この燃焼方法を使うと低回転から高回転までかなり広い範囲で希薄燃焼が可能=CO2の排出を低減できることにつながるわけです。
■日々進化を遂げるエンジン プログラムのアップデートで10psのパワーアップも
このエンジンは日々進化していて、2020年末に180psから190psにへ10psのパワーアップを果たしています。これはパワーアップ前のSKYACTIV-Xに対してもプログラムのアップデートとして、同様に10psのパワーアップが行われています。
ものすごくパワーがあるとか速い!! というエンジンではないので、10psのパワーアップ後も格段に速くなったという印象はありませんが、トルク特性が変わったのか、パワー感(トルク感)がくっきりしてアクセルの微細な操作に対してエンジンがリニアに反応してくれる感覚が強くなりました。つまり、よりドライバーとクルマの間の一体感が強くなったように感じています。
また、1.8Lディーゼルエンジンも116psから130psにパワーアップしています。これによって高回転域の伸び感が増してより力強くて気持ちいいエンジンになっています。マツダのディーゼルエンジンは極限まで圧縮比を低くした低圧縮比ディーゼルで、ディーゼルエンジンとは思えないくらい軽やかな吹け上がりが特徴です。パワー感が増し、エンジンの存在感がぐっと濃くなっています。
このほか、通常のガソリンエンジンも、SKYACTIV-Gと名付けられ、こちらは高圧縮比が売りのエンジンで、ビート感があり、それでいてシャープな吹け上がりを見せるエンジンです。SKYACITI-XやSKYACTIV-Dほどのインパクトはありませんが、エンジンとしてよくできていると思います。
■オーナーならではの目線で考える「販売面苦戦の理由」
さて、そんなマツダ3が販売面では苦戦しているということです。調べてみると、確かにコンスタントに売れているとは言えない数字です。もっともこのところ半導体不足による生産調整が行われているので、一概に売れないと結論付けることはできませんが、少なくともヒットまではいっていない感じです。
オーナー目線で見ると、気に入って買ったわけですから特に大きな不満はないし、コントロールユニットのアップデートによって、パワーアップもしているし、このアップデート時には同時に運転支援系のアップデートも行われ、使い勝手がよくなっています。
けれども、少し視線を広げてCセグメントカー(カローラ、シビック、インプレッサスポーツ、ゴルフなど)と比べてみると、突出したウリが見当たらないというのはあると思います。
1.5Lと2LのNAエンジンは確かに単体としては出来がいいですが、ボディサイズに対して過不足ないとも言えますが、ターボに比べるとトルクが明らかに少なく余裕のパワー(トルク)はありません。もちろん速さだけに価値があるわけではありませんが、もうちょっと余裕があってもいいかな、とは思います。
また1.8Lディーゼルについては、エンジニアリング的には力作だと思いますが、先代のアクセラに搭載されていた2.2Lディーゼルにあった分厚いトルクを知っていると物足りないと言わざるを得ません。CO2などの問題があるのでしょうが、消費者にとってみるとなかなか世界平和のためにパワーの低くなったエンジンを選ぼうとは思えないのではないでしょうか。
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