ガソリン高騰への切り札とも言われる「トリガー条項」とは?
2022年1月27日からある補助金制度が実施されている。それはガソリンの元売り会社に対する補助金で、全国平均のレギュラーガソリン平均価格がリッター170円を超えたときに支給される。これで過度の価格上昇を抑制し、消費者の負担を減らすのが狙いだ。
補助金の対象となるのはガソリンと軽油、灯油など。最大1リッターあたり5円までの補助だが、これは2022年3月末までという期限限定の措置だ。ただし、現在の原油価格高騰が続いていたときには、なんらかの追加措置がとられる可能性もある。
4月以降もガソリン価格が下がらなかった場合に適用が検討されているのが「トリガー条項」だ。
トリガーとは日本語で「引き金」を意味する言葉であり、何かを引き起こす際にも用いられる。ガソリン価格に適用するトリガー条項とは、ガソリン価格高騰の際に、本来の税金より上のせされている25.1円分を免除するもの。これによってガソリン価格が引き下げられる。
トリガー条項が設けられたのは2010年の特例税制が施行された時で、ガソリン価格高騰時に一時的に抑制を行うのが目的。これが実施されればガソリン代も下がり、消費者にとっては恩恵となる。
しかし、トリガー条項の実施には2011年に制定された震災特例法によるトリガー条項凍結を改正しなくてはならず、すぐに実施というわけにはいかないのが実情だ。とはいえ、クルマを日常的に使用するユーザーにとって、ぜひとも実施してほしい条項であるのは間違いない。
無視できない石油石炭税
石油対策にかかる財政需要に配慮して1978年に制定されたのが石油税。その後石油ガスおよび石炭ガス、石炭も対象になったため、2003年に現在の石油石炭税に改められた。
石油石炭税は国と民間の石油備蓄、石油代替エネルギー対策、そして地球温暖化対策などに使われる。課税対象者は国産の石油&石炭採取者と輸入原油を保税地域から引き取る者だが、結局のところガソリン代金に加えられるので、実質的に支払うのは消費者ということになる。
消費税は二重課税ではないのか?
これまで見てきたように、ガソリン価格にはガソリン税と石油石炭税が上乗せされている。さらにガソリンを購入する時には10%の消費税も加えられる。
ガソリンの価格にはすでに税金が加わっているのに、さらに消費税を徴収するのは二重課税ではないかという声も多い。これに対して、国はガソリン税と石油石炭税はあくまでガソリンの製造に関するコストであって、消費税を加えても二重課税にはならないという見解を示している。果たして、この見解に素直に納得できるだろうか?
以前からたびたび問題になっているガソリンの二重課税だが、現状でこれが見直される可能性は低い。トリガー条項による減額措置が行われても、当面の間、消費者はガソリン税と石油石炭税、そして消費税を支払い続けることになりそうだ。
結局のところ、ガソリン価格が下がるには、石油現産国が生産量を増やして需要と供給のバランスが改善されることを願うしかないかもしれない。
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