NT1100はCB1300のダウンサイジング需要に対する受け皿に
実際、NT1100の製品企画でもCB1300のダウンサイジング候補としてNT1100を位置づけている。開発者責任者の清野氏は「今までの大型ツアラーは快適性が高い一方、取りまわしし難かったりツーリング以外に使うには気が引けるという声がありました」と語る。
これは、1800ccのゴールドウイングやCB1300SBを指すのだが、CBの並列4気筒1284ccエンジンが113PSを発揮しているのに対してNT1100は102PSとほぼ同じレベル。パワーウエイトレシオでは横並びなので、NT1100はCB1300SBの機能を満たすと言えるだろう。
加えて、NT1100はCB1300SBよりも20kg以上軽量なので、日常での使い勝手も視野に入る。欧州での現地調査によるとNT1100の前身であるNT750ドゥービルのオーナーたちは、日常使いから週末のツーリングまで幅広い用途で活用しており、これの代替機としても想定されている。
日本の交通事情では日常使いには難しい面があるが、旧来のコンセプト上にあるCB1300SBに対してNT1100が提供できるものは多く、ほぼ同じ車両価格でDCTやアップルカープレイ及びアンドロイドオートなどによる新次元の快適性が味わえるのも利点となるのだ。
今はビッグバイクもスマートに乗る時代に?
CB1300スーパーボルドールがデビューしたのは2005年。日本国内で高速道路での二人乗りが解禁されたタイミングに合わせて発売されたのだ。そして、今回のNT1100はAT限定大型免許の排気量上限撤廃に加え、4月からの高速料金定率割引の実施に合わせた市場投入となる。
ホンダは日本の「二輪文化は成熟へ」向かうフェーズにあると分析しており、NT1100はこれに対する最適解となる。これまでの軽自動車と同じくくりではなく、普通車の半額という二輪料金で高速道路でより長距離をこなしてくれるモデルが求められており、クラッチ操作は不要で二人乗りが快適。さらに荷物もたくさん積むことができるスマートなビッグバイクだ。
CB1300の前身である初代CB1000スーパーフォアが登場した1992年末からビッグバイクを取り巻く環境は大きく変化しており、ホンダがCB1300シリーズのファイナルエディションを出すのはこれに対応するのが理由だろう。
NT1100は欧州でも発売されグローバルでも通用する成熟市場へ向けたモデル。一見、日本では需要が低そうなスタイルに見えるが、ホンダモーターサイクルジャパンによると計画台数800台に対して現時点で450台の受注を受けており、販売は好調だという。
NT1100と入れ替わるタイミングで、ホンダファンバイクで唯一生き延びたガラパゴスモデルのCB1300/400シリーズが生産終了すると予想されるのは、時代の変化を象徴する出来事だろう。
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