■複雑極まる補助金と税金の減免方法
それでは「電動化車両」に関する、以下のような補助金や優遇税制の具体例について見ていこう。
・CEV補助金
・エコカー減税(自動車重量税)
・自動車税(種別割)
・環境性能割(取得税)
・グリーン化特例(自動車税)
なかでも注目されているのが、一般社団法人NEV(次世代自動車振興センター)の「CEV(クリーンエネルギーヴィークル)補助金」という呼び名が与えられた補助金制度だ。
ここでいう「CEV」とは、大雑把に言えば、EV、PHEV、FCV、超小型モビリティなど指す。さらに、後述する東京都や愛知県などの地方自治体による補助金が加えられる。
CEV補助金は住宅などへの給電機能(V2H)を備える車両だと補助額の上限が65万円から85万円に増額された。
ちなみに、輸入車の高級ブランドのEVでも給電機能がほとんど未装備というのは、この制度そのものが普及を睨んだ「日本的」なものであることがわかる。
続けていくと、エコカー減税は新規購入時と車検時に燃費基準(現在は令和12年度基準達成度と令和2年度燃費基準の達成が条件)に基づいて科せられ、自動車重量税を対象に減免が受けられる。
自動車税(種別割)とはいわゆる従来の自動車税(軽自動車税)であり、排気量によって課税額が決まる自治体が管轄する課税だ。新規購入時(月割)と年課税車検時に科される。
自動車税環境割(旧取得税)は、自動車の購入時に燃費基準達成レベルによって0~3%課税を受けるもので、グリーン化特例は電気自動車などの自動車税が、新規登録後の翌年度に概ね75%軽減される。そしてなにより忘れてはいけないのが消費税の存在だ。
以上のように、CEV補助金や優遇制度はさておき、なにより自動車の多重課税ぶりにはもはや呆れかえるほかなく、環境性能割についても、名前を変えての印象操作的なやり方は引っかかる。
これまでも旧取得税や重量税が道路環境整備などに一般財源に取り込まれてしまう場合も多く、常に注意すべき問題であり続けている。
■EV・PHVで補助金に差がつく要素とは?
EVなどが購入時の取得(購入)価格で差がつくのは、どのような理由か探ってみると、結論から言えば、税制面では現状でEVとPHVが非課税となるため、環境性能割(旧取得税)が効いてくることになり、さらに後述する自治体ごとの補助金額に左右されることが大きい。
環境性能割では、メーカーの希望小売価格(グレードとオプション装備の設定価格が含まれる)が他の優遇に比べて減免額が高く、普通車では0~3%の割合でかかってくる。
取得(購入)時に限定されるとはいえ、EV・PHVを買う側としては大きい。
ちなみに、環境性能割は、取得価額×環境性能割の税率で設定され、国土交通省が定めた燃費基準によって税率が決定される仕組みとなっている。
いっぽう、グリーン化特例は新車の車両登録時の自動車税が減税されるもので、令和4年度予算では、EV、PHEV、FCV、天然ガス車(CNG車)では、「特例」として非課税となった。
正確には、EV・PHV・FCVなどでは、1000cc以下と捉えると本来は2万5000円課税されるのだが、特例処置によって免除となるため、現状で購入年度は月割、その後の4年は免除となる。
次に車両としてどのような優遇となるかをまとめてみたが、以下の表では後述する非課税となる環境性能割の減免額が明示されていないため、「見た目上の差」は正確には確認できない。
環境性能割の金額を日本メーカーが「非課税」として免税額を明らかにしていないのは、グレード等での装備の違いで変化することを考慮してのことと思われる。
注目のトヨタ初のEVであるbZ4XはKINTOによってリース販売され、福岡県福岡市など一部自治体では、リース販売でも補助金を受けられることになった。
KINTOの月額利用料は、KINTOの「bZ4X専用プラン」で設定している最長10年の契約期間のうち、最初の4年はCEVを購入した際に国から交付される補助金(以下、「CEV補助金」)を適用した場合、8万8220円(税込)からとなる。
ただし、契約にあたっては別途77万円(税込)の申込金の支払いが必要となる(自治体からの補助金を含まず)。
いっぽう、5年目以降は「CEV補助金」の適用はなくなるものの、それまでの月額を毎年段階的に引き下げていくことで、「お客様にとって長く乗れば乗るほどリーズナブルになるとともに、中途解約金をゼロとし、フレキシブルなカーライフを支援します」としている。
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