2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)を、トヨタ・プリウスが受賞した。現行型で5代目となるプリウスだが、COTYは1・3・5代目と奇数世代だけが受賞している。何故奇数世代のプリウスだけが受賞するのか、その魅力に迫っていこう。
文/佐々木 亘、写真/TOYOTA
■初代プリウスの登場に世界中が驚いた
初代プリウスが登場したのは1997年。現在では当たり前にあるハイブリッド自動車だが、当時は「ハイブリッドって何?」という時代である。
当時のクルマとしては高価格だったこともあり、販売台数ではプリウスらしさが見られなかった。
しかし世界初の量産HEVとして誕生した初代プリウスは、機能やデザイン面で最も攻めたプリウスであろう。
歴史の扉を1つ開けたプリウスは、COTYを取るべくして取ったクルマだ。
続く2代目も機能やデザイン面では大きく負けているとは思わない。ハイブリッドユニットはTHS-Ⅱに進化し、10・15モード燃費は35.5㎞/Lと驚異的だ。
現在のプリウスにも通じるワンモーションスタイルのボディデザインも、2代目から始まっている。
しかし、COTYを受賞することはできなかった。ただ、日常的に使えるHEVへ進化した2代目は、販売面では大ヒット。
3代目登場後もEXグレード(法人向けグレード)として残り続けた、良いクルマだ。
売れたクルマというよりも、画期的な技術やスタンスを評価するのがCOTY。
初登場した初代と進化の2代目を比較すると、驚きという点では圧倒的に初代に分がある。
■識者もユーザーも?営業マンまで驚いた3代目プリウス
各方面からの期待を盛りに盛られた中で、2009年に3代目プリウスが登場する。
先代よりも明らかに洗練された内外のデザインと、ハイブリッドシステムの進化は見事だった。
2代目よりもパワーアップをした上で、10・15モード燃費は38.0km/Lと向上させている。
安全性や走行性能にも磨きがかかり、進化というよりも生まれ変わったという表現が適切だと思う。
しかも、こんなに良くなったプリウスが205万円~(最廉価グレードL)で販売されたのにも驚いた。
HEVを身近なものにしたのは、間違いなく3代目プリウスだ。当時のユーザーが持っていた期待値を、大きく超えてなお余りある魅力がある。
プリウスが認知されてもなお、驚きを提供してくれた3代目は、再びCOTYを受賞した。
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