数々の大会で結果を残してきた三菱が生んだモンスター、ランサーエボリューションシリーズ。某アニメの有名なセリフも生んだこともあり、あんまりクルマに詳しくない方でも知っている方は多いのではないだろうか。今回は、そんなシリーズの中のランエボIIIについて記事をリバイバルし、過去を振り返っていく。
※この記事はベストカー1995年3月10日号(著者は竹平素信氏)を転載し、再編集したものです
■これ以上の進化は不可能…
ランサー最強のエボリューションモデルと噂される”ランエボIII”が、ついにデビューした。WRCで勝つことを目標に三菱が放ったランサーのスペシャルモデルは92年に第1弾が、そして94年1月に第2弾のランエボがデビュー。
それから一年で早くも3弾目のデビューだ。250馬力でデビューしたエボIは、エボIIでさらなるパワーアップとサスの改良を受け、大幅にポテンシャルアップ。制動性能、ハンドリングともに最高にご機嫌であった。もちろん、ラリー、ダートラといったモータースポーツでは最強のコンテンダーでもあったのだ。
2Lターボで260馬力を発揮し、車重はわずか1180kg(RS)のエボIIは、とにかく強烈であった。エボIからエボIIに乗り換え、ダートラに参戦していたボクもその圧倒的な動力性能には時としてもてあますこともあったほど。
BC読者の記憶にはゼロヨン12秒21というBC計測史上最速データが焼き付いていると思う。データをマークした僕自身も、あの時の鮮烈なイメージは今でも残っている。
そして、このエボIIIである。ランエボIIにして、これ以上のエボリューションモデルは考えられない、と思っていたが、さすが元気印の三菱、さらなる進化ぶりを見せた。
外観上で大きく異なるのは迫力ぶりがさらに増したリアスポイラー、よりマッチョになったエアダムバンパーだ。もちろん、一見してランエボIIIとわかる勇ましいアピアランスである。
中身は、エンジンがさらにパワーアップ。タービン径のアップ、排気系の改良、圧縮比アップなどで270馬力! というすさまじさ。車重増加はわずか10kgだから、ランエボII以上のポテンシャルの持ち主であることは疑う余地なし。ボディ、シャシーはエボIIのままだ。
■タイヤの容量アップで11秒台も可能
テストフィールドはいつもの谷田部。快晴の早朝だ。気温は0度あたり。ちょっと寒すぎるが、ターボ車にとってよいコンディションである。まずは6000回転あたりでクラッチミート。ダッシュを試す。
が、なんと、激しくホイールスピン。4輪のグリップ性能が強烈なパワーに追いつかないのだ。結局、5000回転プラスあたりでミート。それでも一気にアクセルを開けるとホイールスピンが増加し、ベストなトラクションが確保できない。
4WDでありながら、スタートダッシュでホイールスピンのコントロールを強いられるとは、まったくの驚きで、エボIIでも多少コントロールの必要はあったが、エボIIIはさらに激しい。エンジンは、中速(4000回転あたり)から上の吹け上がり、パワー感が一段と増している。
厳密にいえば、トップエンドの伸びが300~400回転ほど向上し、そのぶん低回転からのパワーの立ち上がり回転も高くなった。ランエボの武器である広いパワーバンドが、そっくり高回転側に移ったともいえる。
それにしても、こいつのパワーはハンパじゃない。エボIIも強烈だったが、エボIIIはスペックの差以上のパワフルぶりを体感したのだ。ゼロヨンデータは、スタートダッシュのトラクションコントロールのわずかなミスで12秒62にとどまってしまったが、それでもメチャ速い。
装着タイヤは205/60R15だが、これはランエボIIIにとって容量不足。ワンランクのサイズアップはしたい。そうすれば11秒台も可能だ。4WDにとって、速さの要であるエンジンがさらに性能アップしたランエボIIIだが、正直なところ、サス、タイヤが追従できないほどのレベルアップぶりだ。
ストリートユースでもサスチューン、加えてLSDチューンもやりたい。ランエボIIIは、4WDランサー究極のエボリューションモデルであり、ランエボIVの登場は考えられない。
コメント
コメントの使い方懐かしいね~ぇ・・・スバルのインプレッサとのバトル。トヨタ、日産の出る幕なかったって感じ。あの頃のスカGT-Rは2.6Lの280馬力。この2車スカに比べ、車樹軽かったもんね
あの頃がホント懐かしい