極上の品質に終始酔いしれる メルセデスベンツ  E300カブリオレスポーツは最高だ!【テリー伊藤のお笑い自動車研究所】

極上の品質に終始酔いしれる メルセデスベンツ  E300カブリオレスポーツは最高だ!【テリー伊藤のお笑い自動車研究所】

 ベストカー本誌で30年も続いている超人気連載「テリー伊藤のお笑い自動車研究所」。過去の記事を不定期で掲載していきます。今回はメルセデスベンツ  E300カブリオレスポーツ試乗です!(本稿は「ベストカー」2021年5月26日号に掲載した記事の再録版となります)

撮影:西尾タクト

【画像ギャラリー】やっぱベンツのオープンカーは“特別”だわ! メルセデスベンツ  E300カブリオレスポーツ試乗の様子をギャラリーでチェック!(9枚)画像ギャラリー

■素晴らしく上品!!! 木更津の漁港がコートダジュールになる!?

メルセデスベンツ  E300カブリオレスポーツ(9AT・956万円)…2016年に登場した5代目Eクラスが昨年(2020年)秋、大幅改良を果たした
メルセデスベンツ  E300カブリオレスポーツ(9AT・956万円)…2016年に登場した5代目Eクラスが昨年(2020年)秋、大幅改良を果たした

 この連載でオープンカーを取り上げるのは、昨年(2020年)秋のレクサスLCコンバーチブル以来。

 安い中古車でも大歓迎の私だが、最近のオープンカーは高級車ばかりだ。今回乗るのもベンツE300カブリオレスポーツで、956万円となかなかのお値段である。

 現行型のEクラスは2016年に登場した5代目で、昨年9月に大規模な改良を実施。外観はほとんど変わらないが、安全装備がさらに充実し、また、ARナビなる新装備も追加されているらしい。

 試乗車のE300は直4、2Lターボエンジンを搭載しており、その下に直4、1.5Lターボ+マイルドハイブリッドを積むE200もある。

後ろ姿もエレガント。ボディサイズは全長4845×全幅1860×全高1430mm、ホイールベース2875mm。今回試乗したE300は258ps/37.7kgmの直4、2Lターボを搭載し、9速ATを装備
後ろ姿もエレガント。ボディサイズは全長4845×全幅1860×全高1430mm、ホイールベース2875mm。今回試乗したE300は258ps/37.7kgmの直4、2Lターボを搭載し、9速ATを装備

 排気量が大きいほどえらいという時代が終わっているのは知っているが、ベンツEクラスでヤリスやフィットと同じ1.5Lというのは衝撃的。しかも、1.5Lだからといって安いわけでもなく871万円なのだ。時代は変わったものだとつくづく思う。

 それはともかく、撮影場所で対面したEクラスカブリオレは素晴らしく上品で、ここが木更津の漁港ではなくコートダジュールだと錯覚してしまいそうになる。

 ちょっと視野を広げると漁師の軽トラが見えるのだが、それはないものとしてコートダジュールのEクラスに集中しよう。

 シルバーのボディ、エンジの幌、ホワイトの内装というコンビネーションは完璧だ。

 内装色は、シートはもちろんハンドルまで白の徹底ぶりで、貧乏性の私などは汚れが付かないか心配してしまうが、このクルマのオーナーはそんなことは気にしないのだろう。

インテリアは文句のつけようがない仕上がり。シートだけでなくステアリングも白の徹底ぶり!
インテリアは文句のつけようがない仕上がり。シートだけでなくステアリングも白の徹底ぶり!

 車内でコンビニ弁当は食べられないし、まして串カツや煮込みも無理。残念ながら私のお店「から揚げの天才」のから揚げもこのクルマでは食べられない。後席で子どもがお菓子を食べ散らかしていたら「降りろ!」と言ってしまいそうだ。自分の器の小ささを思い知らされるクルマでもある。

 こういうクルマを見ていると「SUVは下品だな」と思ってしまう。

 SUVのオーナーが風呂上がりにジャージを着てレモンサワーを飲んでいるとすれば、このクルマのオーナーは、ナイトガウンを着てソファでブランデーグラスをくるくる回しているイメージ。住んでいる世界がまったく違う。

 それはつまり、ベンツEクラスカブリオレを買うのは、凄くハードルが高いということでもある。

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■地の果てまで走りたくなる気持ちよさ!

走りはクルーザー感覚。E300ではなく、1.5LターボMハイブリッドのE200で充分かも
走りはクルーザー感覚。E300ではなく、1.5LターボMハイブリッドのE200で充分かも

 お金持ちならランボルギーニもフェラーリも買えるだろう。ベンツでもGクラスやAMGも躊躇なく買えるはずだ。

 しかし、想像してみてほしい。ブレイクして大金を稼げるようになった若手芸能人がベンツのオープンカーを買うだろうか。その確率は相当低いと思う。ベンツの販売店に行って注文するのは、きっとGクラスのAMGだ。それが流行っているから。

 Eクラスコンバーチブルは、そうした世俗から離れたところにいる。伝統と気品のある雰囲気に圧倒されるのだ。なんてったって、木更津の漁港をコートダジュールに変えてしまうのだ。

 走りもクルーザーの感覚だ。オープンにして海沿いの道を走っていると、ストレスが一気に解消されて、このまま地の果てまでも走っていきたい欲望に駆られる。

電動ソフトトップは低速走行中も開閉できる。オープンカーは最高だ!
電動ソフトトップは低速走行中も開閉できる。オープンカーは最高だ!

 実際は近くのあなご丼の店に向かうのだが、それすら気分的には地中海の高級レストランに変わる。お金はあっても簡単に買えないのがベンツ、それもEクラスコンバーチブルで、青山や六本木よりも伊豆や軽井沢などの別荘地が似合うというのが大事なところ。それがこのクルマの特徴であり、最大の魅力だと思うのだ。

 それにしても、と思うことがある。かつては日本にもコンパクトクラスのオープンカーが存在していたものだが、今は皆無。マツダロードスターが頑張っているが、あれはスポーツカーでありオープンカーとはまた別のものだ。

 マーチ、カルタス、サイノスなど、過去にはあった普通のクルマのオープンカーが復活してほしい。しかし、オープンカーは最高にハッピーなクルマなのだが、使い勝手の悪さなどを考えると「あっても売れないよな」とも思ってしまう。それが今の日本の現実なのだ。

 そんな閉塞状況を打破するためには、ベンツEクラスカブリオレのような気品のあるクルマが売れなくてはならない。新車でなくても中古車でいい。中古車ならRAV4を買うくらいの予算で、充分にいいものが買える。「ベンツEクラスカブリオレにみんなで乗ろう委員会」を作りたいくらいだ。

 こういうクルマが売れるようになれば、日本の雰囲気も変わるはず。今、日本にはベンツEクラスカブリオレが必要なのだ。

(写真、内容はすべてベストカー本誌掲載時のものです)

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