なぜスズキだけに作ることができたのか? クロスオーバーSUVの新ジャンルを開拓 バカ売れ初代ハスラー徹底解剖【ベストカーアーカイブス2014】

■消しゴムをなくすために鉛筆を禁止した壮絶社風

 ここからは、スズキ社員による“節約”の実態報告だ。なにより、社員が「ウチの会社は昔からそうだった」と疑わないところがスズキなのだが……。

「蛍光灯を間引くなんて、かなり前からやっています。オフィスでは、スイッチのひもが付いていて、離席する際は自分の上の蛍光灯を消します」

「クールビズが始まるはるか昔から事務所のエアコンが夏高く、冬低い温度設定でした。必然的に夏はクールな服装、冬は重ね着になります」

 もちろん、ショールームはお客さま第一主義で、快適な照明とエアコン温度設定になっているのはいうまでもない。さらにこんな証言もある。

「ある時、事務所中の文房具が集められ無駄のチェック。そして出たのが鉛筆禁止です。間違えたら消しゴムで消しますが、その消しゴムが無駄。ボールペンなら2本線を引けばすむというのです。ついでに、消しゴムで消す時間も無駄です」

 いやはや、編集部にとって耳の痛い話ばかり。さらに、「カラーコピーも廃止、ホッチキスは課にひとつ」と聞くと、さらに耳が痛くなる。

 スズキは、浜松に本社を構えるが、支店は全国に東京の1カ所だけ。それも渉外と広報部門という、東京に必要な部門の最小限スタッフによる小規模支店だ。

 こういった、“小さな組織”によるコスト削減も徹底している。それが研究開発費と価格引き下げに回っている。

 少々大袈裟かもしれないが、社員の爪に火をともすような会社生活から生まれたハスラー。この人気がいつまで続くのか。

 アルトやワゴンRのように軽自動車の革命的クルマとして、後世に名を残すことを、余計なお世話ながら、厳しい環境で業務を遂行している全スズキ社員に成り代わって祈願したい。

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■イチバン人気の色はオレンジ2トーン

オレンジだけインパネも同色オレンジに塗色されていてオシャレ感が漂う。鮮やかなカラーは目立ちすぎ!? 
オレンジだけインパネも同色オレンジに塗色されていてオシャレ感が漂う。鮮やかなカラーは目立ちすぎ!? 

 ハスラーのメインボディカラーはオレンジ、ブルー、ピンクの3色。かなり派手な色づかいではあるが、それも人気のひとつになっているようだ。スズキによると、人気カラーのトップ3はオレンジボディの白ルーフ、赤の黒ルーフ、そしてピンクの白ルーフの順。狙った色が上位にきている。販売が落ち着いたら変化があるかもしれない。

 バブルの時と同じように、2トーンが売れているのは景気がよくなった証拠か!?

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■ハスラーのこだわり01:丸型ヘッドランプ

可愛らしいエクステリアをさらに強調するのがヘッドランプ。インテリアの一部にもこのデザインが採用されている
可愛らしいエクステリアをさらに強調するのがヘッドランプ。インテリアの一部にもこのデザインが採用されている

 デザイナーが「楽しんでデザインできた」というハスラー。テーマはモダン・レトロ。ヘッドランプは、最近流行のサイドまで回り込む異形ではなく、オールドファンに懐かしい丸型を採用。目尻を少し伸ばしてアクセントにしている。丸型ヘッドに慣れていない若者には新鮮に映るようだ。

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■ハスラーのこだわり02:初代エスクードのリア

オフロードもいけそうな(実際に走破性は高い)デザインだ
オフロードもいけそうな(実際に走破性は高い)デザインだ

 リアのブリスターフェンダーやランプの形状は、初代エスクードをモチーフにデザインされている。ここにもモダン・レトロのこだわり。大人気となった初代エスクードの懐かしさを、現代風にアレンジして、若者から年輩層まで共感するデザインにした。

初代エスクード
初代エスクード
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次ページは : ■ハスラーのこだわり03:いろいろな遊びを提案できる新鮮なデザイン

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