日産「キックス」タイで独自進化!! 今年新型登場するけど安くて小さい「こっち」も日本に必要な理由

従来型キックスの「内外装の時代遅れ感」という弱点を見事にカバー

 日本のキックスは現在、激戦のコンパクトSUV市場で苦戦を強いられています。2025年(1月~12月)のキックスの国内登録台数は9,595台(月販平均約800台)。前年比66.9%と大きく落ち込んでしまっています。国内デビュー翌年の2021年は3万5000台ほど登録があったことを考えると、失速感は否めません。

 キックスの強みであるe-POWERの走行性能は、いまなお通用する実力を持っています。モーター駆動ならではの力強い加速や扱いやすさは、いまも評価できる魅力ではありますが、内外装の質感やデバイスの先進性が、時代の移り変わりに追いついていけていません。

 とくにインテリアは、現行型の「ノート」や「エクストレイル」と比較されるとどうしても見劣りしてしまい、商品全体としてのバランスが崩れてしまっています。今回のタイ改良型は、その弱点を極めて的確に補ったモデルだと感じました。

現行キックスは走行性能に定評がある一方で、内外装の古さが課題となっていた
現行キックスは走行性能に定評がある一方で、内外装の古さが課題となっていた

次期型だけでいいのか!? 2本立てという道はないのか!??

 日産のイヴァン・エスピノーサ社長は、2026年2月に行った2025年度第3四半期決算発表のなかで、「キックス(やその他の新型車)を向こう数か月間で投入する」と明らかにしています。

 新型キックスは、従来型から内外装ともに質感が大きく向上しており、とくに外装は従来型キックスの丸みのあるイメージから一転、ボクシーで力強さを感じる新鮮なデザインで、なかなかかっこいいと国内でも評判です。内装も2枚のディスプレイを組み合わせたモノリスデザインを採用したほか、上級車並みの質感を備えた素材を用いるなど、最新の日産車デザインが取り入れられています。

 ただ、ボディサイズは全長4366mm(+67)×全幅1800mm(+40)×全高1630mm(+25)、ホイールベースも2657mm(+37)と、従来型と比べてひと回り大きく(カッコ内は従来型との差分)となり、ライバルのホンダ「ヴェゼル」(4340もしくは4385×1790×1545~1590、WB2610)と同程度ではあるものの、上級のエクストレイル(4690×1840×1720、WB2705)との差が詰まり、日産ラインアップ内での差別化が難しくなる事態も懸念されます。

 コンパクトSUVカテゴリの最大の価値は「扱いやすいサイズ」にあるはずです。とくに日本市場では適正なサイズであることが求められますが、もしこの新型が日産の「最小SUV」というポジションを担うことになれば、トヨタ「ライズ」や「ヤリスクロス」のような全長4.3m未満のコンパクトSUVという、国内でもっともボリュームのあるカテゴリを自ら手放すことになりかねません。経営再建という重大な局面に立つ日産にとって、この判断は本当に最善なのか。装備の高度化にともなう価格上昇も予想されるなか、ユーザーの期待と乖離してしまわないかという疑問が残ります。

 そこで提案したいのが、タイの改良型と次期型を併売する「2本立て」戦略です。扱いやすいサイズを維持したうえで手頃な価格を実現し、質感に磨きをかけた「改良型」は、まさに日本の街中で「いま売れる実力」を持っています。一方で新型は、日産の最新技術を象徴する小型SUVとして展開するという、2軸で市場をカバーすれば、ユーザーの選択肢はより広がるはずです。従来型キックスもタイ生産車ですので、供給体制の構築もそれほど問題にならないでしょう。

 この改良型キックスは、2026年4月14日に発表された日産の長期ビジョンにおいて、事業基盤を支える「コアモデル」のひとつとして、新型キックスと並んでビジュアルに登場しています。日産としても、この改良型キックスは単なる派生仕様ではなく、重要な役割を担う存在として期待を寄せていることがうかがえます。

 日産にとって日本は決して大きな市場ではないかもしれませんが、ホームカントリーでの評価はブランド全体の信頼感に直結します。日本のユーザーの暮らしに最適化された展開は、いまこそ必要なのではないでしょうか。日産がどのような「次の一手」を投じてくるのか、その動向を注視したいと思います。

エクステリアデザインを大きく変えてきた北米向け新型キックス。日本仕向けは追浜工場で生産が立ち上げられる見込みだ
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リアフェンダーのボリューム感が凄い。LEDのテールランプは新デザインを採用している
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【画像ギャラリー】安くて小さいならこっちのほうがよくない!?? タイで発表された改良型日産「キックス」(16枚)画像ギャラリー

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