新型ローグの姿が世界初公開となったのは2020年7月。このモデルが次期型エクストレイルになることは間違いない。
エクストレイルは初代型が2000年に登場して以降、これまで3世代に渡って、日本のミドルクラスSUV界を牽引してきた、日産のミドルクラスSUVだ。
しかし、天敵「トヨタハリアー」が、この6月にモデルチェンジを行い、さらに、トヨタが誇るもう一つの看板SUV「RAV4」もプラグインハイブリッドモデル「RAV4 PHV」を発表、こちらも国内受注を一時的に停止しているほどの大人気モデルとなっている。
その影響をうけ、モデル末期のエクストレイルは大きく失速し、販売台数が激減してしまっている状況だ。
エクストレイルは、2021年にも登場するとされている次期型によって、このトヨタ2枚看板SUVに太刀打ちすることはできるだろうか。熾烈極める国内SUV頂上決戦の行方を、新型ローグで明らかになった情報をもとに次期型エクストレイルの姿を想像し、考察してみようと思う。
文:吉川賢一/写真:NISSAN、TOYOTA
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「ボディサイズ」と「価格」がウケた、現行エクストレイル
日産によると、エクストレイルのウリは、「インテリジェント4×4が実現する圧倒的な走破性」、「プロパイロットをはじめとする未体験の先進技術」、「先進のシャシー制御が実現する、意のままの走り」だそうだ。
確かにそうした性能は素晴らしいものではあるのだが、これらの技術は、いまやSUVとしての当たり前性能であり、昨今発売されるクルマには、同カテゴリであれば、似たような技術が織り込まれている。したがって、これだけでエクストレイルが選ばれているとは言い切れない。
現行エクストレイルは、2018年の国内4WD SUV販売台数1位を獲得している。このように支持された理由は、「ボディサイズ」と「価格」にある、と筆者は分析している。
エクストレイルは、競合するライバル車たちの中で、最も長くて、最も幅が狭く、最も全高が高く、そして安い(※ガソリン「S」は248万2700円、ハイブリッド「S」は288万円と驚異的に安い)。
つまり、SUVの大切な積載性を、リーズナブルに提供していた、という特徴を持っているのだ。
もちろん、現実的には300万円を超えるモデルが売れ筋となっていたのだが、車種選択の中で販売店を訪れて、エクストレイルを見た時に、多くの荷物を載せられて、エントリー価格が競合と比べて安いとなれば、必然的に顧客の頭にはエクストレイルが残っていたのであろう。
今回、新型ローグでは、従来型と比べて、全長は42ミリ短く、全幅は19ミリ広く、全高は8ミリほど下がった。モデルチェンジをするたびに、拡大を進めるクルマが多い中で、全長をこれほど短くしたのは珍しい。
その分、従来型の魅力であった荷室の広さが犠牲にならなければいいが、それでも、RAV4に比べれば90ミリも長いため、余裕代はあるように感じる。
次期型はe-POWERとPHEVで!
新型ローグで現時点明らかになっているのは、改良された2.5Lのガソリンエンジンの存在のみ。その他の情報は明らかとなっていない。筆者は、日本市場向けのエクストレイルには、「新型のe-POWER」と「プラグインハイブリッド」のみのラインナップとなるのではないか、と予想している。
キックスが日本販売仕様をすべてe-POWERにしたように、エクストレイルも、ガソリン仕様は用意されずに、ベースグレードはe-POWER、そしてハイエンドグレードにはプラグインハイブリッドを、という予測だ。
「キックス」を出したことで、安めのSUVを望む方にはキックスをお勧めするという戦略がとれるようになった。SUVラインアップに穴がなくなったのは、国内の日産販売店にとっては朗報ではないだろうか。
また、三菱との協業を活用したプラグインハイブリッドでは、先日登場したRAV4PHVの「バッテリー総電力量18.1kWh、EV走行距離は95km」という性能を上回ることができれば、RAV4PHVの怒涛の勢いを断ち切ることは十分に可能だ。
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