レクサスへの販売奨励金は初めて
レクサス車はどうなるのか? 実はトヨタがレクサスの販売奨励金を出すのは初めてとみられる。
レクサスカードを利用する場合の1.5ポイント還元、最高8万円ぶん、12万円ぶんのキャッシュバックは同じだが、トヨタブランドの最高25万円ぶんの用品サービスや下取り車の5万円上乗せは、トヨタでは実施していない。
認定中古車の半額も同じである。対象車は2020年12月頃にマイナーチェンジする予定のレクサスLSを除いてはほとんどの車種が対象になる。
言うまでもなく、トヨタ、レクサスが今回このような販売奨励金制度を設定したのは、メーカーが販売奨励金制度の設定で傘下の販売店をバックアップし、これを値引き資金に活用し、コロナ禍による新車や中古車の販売を回復させる狙いがある。
ちなみに6月の新車販売台数(軽含む)は前年同月比23%減の34万台と45%減だった5月からは改善。
トヨタの販売台数も23%減の10万台と5月の33%減より落ち込み幅が少なく、1~6月の累計販売では16.0%減の70万6555万台となっており、コロナ禍から回復基調にある。
トヨタは世界販売について「想定を上回るペースで回復している」としている。来年初めにかけて前年並みに戻るとの見通しを維持している。
今年上半期(1~6月)のトヨタグループ世界販売台数(ダイハツ工業と日野自動車を含む)が、前年同期比21.6%減の416万4487台だったと発表された。VWを上回り、上半期としては6年ぶりに世界首位となった。
今回の販売奨励金について、トヨタ広報部に問い合わせてみたが「メーカーとしては、販社の販売戦略についての発言は差し控える」のことだった。
とはいえ、日本自動車工業会の会長でもある豊田章男社長は、自動車工業4団体で合同会見を開いた際には、中小部品メーカーなどを対象にファンドを立ち上げて資金提供する策を発表。
「なんとしても雇用を守っていく」、「収束後は自動車産業が一番の牽引役になる」と力を込めて発言したように、自動車販売を回復させ、コロナ禍を乗り越えたいという思いが、今回の販売奨励金制度に結びついたのではないだろうか。
2020年8~9月はトヨタブランドだとプリウス、アクア、C-HR、RAV4、ルーミー、レクサスブランドはNX、RX、ES、ISなどがマイナーチェンジ、一部改良などで商品ラインアップを強化するから、これらの車種を中心に販促を進めつつある。
前述したとおり、これまでトヨタがこうした大がかりな販売奨励制度の設定はあまりせず、販社が独自に資金を拠出し、需要の多い期間にキャンペーンを展開してきた。
トヨタの販売店は潤沢な資金で強力な販促活動を強力に推し進め、トップシェアを構築してきたのである。しかし、コロナ禍により、その体力に限界を感じたのではないだろうか。
さらにこの販売奨励金制度には販売不振の車種を後押しして生産量を一定にする狙いもある。
トヨタは2020年5月から(東京地区は2019年4月~)4つの販売系列を統合し、全車種併売にしたが、人気の車種にこれまで以上に注文が集まり、人気車と不人気車の格差が広がるという現象が起きている。
生産を平準にすることで全国にある生産拠点の稼働率を引き上げることになるため、雇用の維持や技術の保持に必要だと掲げる、国内生産300万台体制を守ることにつながるのだ。
今回のコロナ禍で販売活動の自粛が叫ばれ、営業時間の短縮、訪問セールスの禁止、週末フェアの縮小、チラシ、DM、電話コールの一時的な停止などが、販売の激減につながっている。
最近になって営業活動が通常通りできるようになり、新規、フルモデルチェンジ、マイナーチェンジ、一部改良などで販売攻勢をかけられる条件が整いだしたので、これまでの激減を中間決算セールの活用によって一挙に挽回しようとの戦略である。
ただ、だからといって今トヨタの系列店やレクサス店に出向けば格安で買えるとはかぎらない。「今、メーカー主導で格安のキャンペーンを実施しておりますので大幅値引きで売りますよ」といった販売の仕方はめったにしないのだ。
ところがトヨタの4系列店同士や日産、ホンダ、マツダ、スバルなどの強豪ライバル車との競合を絡ませて粘ると途端に大幅な値引き競争になり、売り込みを加速させるので、こうした作戦で臨めばまたとない好条件が引き出せるはずである。
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