■成功ばかりではない車名変更 トヨタにとっても「カローラ」は特別
一方で、柱となる車名に、新たな価値や別の価値を追加したほかの車種では、トヨタにおいても必ずしも成功していない例がある。
コロナ・エクシブやコロナ・プレミオなどがあったコロナは、結局、コロナ・プレミオからプレミオという新しい車名に変えたあとに、車種削減の対象となってなっている。またコロナ・マークIIは、マークIIと名乗ったあと、マークXに車名が変更され、これも消えゆく結果となっている。
販売上は、車種の隙間を埋めていく役目を担ったり、新しい価値の4ドアを模索したりという戦略が背景にあったかもしれない。だが、永続的な価値観が得られなかったり、時期尚早であったりしたのかもしれない。またコロナは、プレミオとして消えるまでハイブリッドの設定がなかった。5ナンバーセダンにHVがあれば、コロナはまだ存続できたかもしれない。
そもそもコロナ・マークIIは、コロナとクラウンの間を埋める車種として誕生し、GSSなどというスポーティ車種が注目を集めたこともあった。それが先々アリストとなり、レクサス GSへと発展していくが、GSも、結局は統廃合されていくことになった。
またマークXも、なぜマークIIではなくマークXでなければならないのかという、車名変更の理由がやや希薄だったのではないか。
コロナも、そこから派生したコロナ・マークIIも、歴史を重ねた車種だったが、トヨタの戦略がすべて成功してきたわけではない。逆に、それだけカローラというクルマの普遍的、世界的価値が盤石になったのである。
ほかの自動車メーカーは、時代の変化などによって車名が必ずしも適切でないとの判断から、日産の場合でいえばサニーやブルーバード、ローレル、さらにはセドリックといった車名が次々に消えた。
しかし、ティーダやフーガは、あまり定着しなかったようだ。ホンダは、シビックとアコードの車名は残っているが、海外市場での商品性を重視してモデルチェンジが進められたことも関係してか、国内ではその存在感を薄くしている。
カローラは、のちにプリウスやアクア、あるいはヴィッツ(現行ヤリス)が登場しても、大きく販売を落とすことはない。その偉大さとともに、消費者にわかりやすい車名のつけ方も販売に効果を上げているのだろう。ヴィッツから世界共通のヤリスへ車名変更したあとヤリス・クロスが登場し、ヤリスもカローラのあとを追おうとしているようだ。
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