交通事故の瞬間だけでなく、あおり運転や不意のトラブルを捉えるドライブレコーダーは、今の時代必須アイテムといえる状態になっている。
ただ購入しようと思った時に気になるのが、どんな性能であればもしもの時にしっかり役立つのか? ということだろう。
今回は、自身もドライブレコーダーを活用している自動車ジャーナリストの諸星陽一氏が、選ぶ際に押さえておきたい性能、そしてドライブレコーダー装着時に気を付けるべきポイント(自動ブレーキに干渉しないように)について解説していく。
文/諸星陽一
写真/Adobe Stock(Masaharu Shirosuna@Adobe Stock)
【画像ギャラリー】ドライブレコーダー購入時に押さえておきたい4つのポイント
■全体の約46%という高い装着率となっているドライブレコーダー
私達ジャーナリストが自動車メーカーやインポーターから借用するクルマを「広報車」と呼びます。その広報車も現在はほとんどのクルマにドライブレコーダーが搭載されています。
ドライブレコーダーは何らかのトラブルが起きた際にその状況を録画できるため、さまざまなことに役立ちます。簡単に言ってしまえば証拠が押さえられるというわけで、何か事故が起きた時には何が原因だったか? 誰に非があったかなどを判明できる可能性があります。あえて可能性があると書いたのは、ドライブレコーダーは万能だと思って欲しくないからです。
そんなドライブレコーダーですが、多くの人は「あおり運転」対策に搭載したい……と考えていることでしょう。ちょっと古いデータになりますが2016年のJAFの調査によると、あおり運転の被害にあったという人は約6割にもなると言われています。
テレビのニュースやワイドショーで、あおり運転のドライブレコーダー映像が公開されたことも影響して、搭載率はかなり高くなっています。2019年に国土交通省が行った調査では、全体の45.9%が搭載、その目的は交通事故の記録が第1位、第2位があおり運転への対策でした。
さて、多くの人が必要としているドライブレコーダーですが、実はいろいろなタイプがあります。いったいどんなタイプを選べばいいのでしょうか。今回はそんなドライブレコーダーの選び方について考えていきます。
■海外製品は注意が必要 国産品が安心感高し
まずは基本的な部分です。ドライブレコーダーは電子パーツのため、自動ブレーキなどの装備に干渉する可能性があります。最新の国産品はまず問題ありませんが、海外通販などで販売されているものは注意が必要です。
海外製品が必ず干渉するとは限りませんが、安全に関係する部分だけに自動ブレーキ装着車などは、国産品を選ぶことをおすすめします。もちろん、海外製品でも自動ブレーキに対する検証がしっかりと行われている製品で、説明書などがしっかりしているものは使っても構わないでしょう。搭載時はセンサーから何cm離すといった指定がある場合はそれを守ることも大切です。
■事故の証拠として使うなら押さえておきたい性能
次に考えないとならないのが画質の問題です。画質は解像度と画素数がカギになります。事故やあおり運転の証拠として録画するのであれば解像度はフルHDで、画素数が200万画素以上であれば問題ないでしょう。それ以上の性能があればより詳細に証拠を残せます。
映像作品として使うのであれば解像度、画素数ともに大きいほうが有利ですが当然記録媒体(SDカードなど)は大容量が要求されます。
ドライブレコーダーは昼夜を問わずに撮影できなければなりません。それを実現するのが「WDR(ワイド・ダイナミック・レンジ)」と言われる機能です。WDR搭載のモデルであれば、晴天時の逆光から夜間まで必要な情報を収集できます。
もうひとつ大切なのはLED信号に対応しているか否かです。LEDは人間の目では判別できない速度で点滅しています。LED対応でないドライブレコーダーの場合は信号の状態を撮影できないことがあり、事故などの時に証拠として使えないことも考えられるので、かならずLED対応のものを選ぶようにしましょう。
そしてどこを撮影するか? を考えないとなりません。一般的な使用であれば前方を撮影することは基本となります。そして、特に前方のみを撮影する場合は画角が大切です。
水平方向(左右方向)の画角は最低でも90度、垂直方向(上下方向)で50度以上が必要だと言われています。しかし、このタイプのカメラを取り付けても撮影できるのは前方だけなので、後方から行われたあおり運転の証拠や追突事故の様子などは収録できません。
後方や側方の情報を収録するためには、数個のカメラや360度カメラなどを取り付けることで解決できます。360度カメラはフロントウインドウに取り付けるものが多く、車内の乗員や荷物などによって死角となる部分も多くなるため、リヤ用カメラとの併用がおすすめです。
また、駐車中の車上ねらい対応などにも対応するためには、車内の撮影も可能としておいたほうがいいでしょう。駐車中の撮影にはバッテリーの容量も重要なポイントとなります。
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