現在開幕中の第45回東京モーターショー2017、三菱ブースにおいて、コンセプトカーの「e-EVOLUTION CONCEPT」が披露された。
かつて三菱が販売していたランサーエボリューションシリーズを彷彿とさせるネーミングで、コンセプトカーに「エボ」という車名が冠するだけで、ハッとするファンは多いだろう。
e-EVOLUTION CONCEPTは小型の高出力モーターを前輪に1機、後輪に2機搭載する、高性能な電気自動車のSUVモデルだ。
もちろんe-EVOLUTION CONCEPTの市販化には大いに期待したいところだが、やはりそれでも「エボ」という車名に胸の奥が暖かくなるファンと、その名が持つ特別な意味をご存じない若い読者のために、かつてのランサーエボリューションが、三菱に、そして日本のクルマ界に果たした役割について改めて振り返りたい。
文:渡辺陽一郎
■手頃な価格とサイズで世界最高の性能を味わえた
初代ランサーエボリューションは、4代目ランサーをベースに開発を進めて1992年に発売された。この時点でエンジンは直列4気筒2Lターボ、駆動方式はフルタイム4WDを搭載しており、最終型に至る基本メカニズムを確立させている。
この後、フルモデルチェンジと細かな改良を繰り返しながら、2016年まで24年間にわたりラインナップを続けた。
ランサーエボリューションが三菱と日本のクルマ界に果たした役割は数多くあるが、最も注目されることは「運転の楽しいクルマを常に提供してきたこと」だ。
ベース車がランサー(日本では「ランサーセディア」や「ギャランフォルティス」とも名乗った)だから、全長は4300〜4500mm前後に収まり、日本の狭く曲がりくねった峠道でも運転がしやすい。
価格は初代モデルのGSRが273万8000円。この後も売れ筋のGTやGSRは330〜360万円で推移した。
2015年に発売された充実装備のファイナルエディションは429万8400円と高価だったが、同程度の性能を備えた欧州製のセダンなら価格が2倍以上に達する。そこを考えれば割安なスポーツモデルであった。
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