クルマ界にもデジタル化の波到来 国交省から「車検ドライブスルー化」予算要求


車検証のICカード化は令和5年1月導入

国土交通省は令和5年1月を目処に車検証のICカードを進めている(出典/国土交通省)
現在検討されている車検証ICカード化のイメージ(出典/国土交通省)

 車検制度のデジタル化という観点からいうと、すでに令和5年(2023年)1月導入をめどに車検証のICカード化を進めており、ドライブスルー化もそれに合わせて導入されることになりそうだ。

 そもそも自動車を保有するためには各種行政手続きと税金・手数料の納付が必要だが、これらの行政手続きや税金・手数料の納付をオンライン申請で一括して行うことを可能にしたのが、「自動車保有関係手続のワンストップサービス(OSS)」。

 知らない人も多いと想像できるが、実はすでに、登録手続きの電子化が始まっていたのだ。

 平成17年12月から一部の地域で始まったこのサービスは、利用すると申請のために各行政機関の窓口に出向く必要がなくなり、パソコンを使ってインターネット上で手続きと納付をすることができる。

 実際にはディーラーなどに依頼される方も多いと思うが、その場合もOSSを利用すればディーラーも行政機関に出向く手間が軽減されるので代行手数料の軽減につながっている。

 OSS 導入地域は令和2年3月時点で、新車・中古車新規登録については44都道府県、継続検査については全国47都道府県、変更登録、移転登録、一時抹消登録及び永久抹消登録については全国 44 都道府県で利用可能となっている。

 しかし、OSS の利用は、新規登録については、平成 30 年度末で 106.6 万件(40.8%)、継続検査については、265.5 万件(16.7%)となっており、いずれもOSSの利用は低調となっている。

 これは、OSS で申請した場合であっても、自動車検査証受取りのための運輸支局等への出頭が必要となっていることが、継続検査、変更登録および移転登録に関する OSS のさらなる利用促進を検討していくうえで、課題とされていた。

 こうした状況を打開するため、デジタル行政の実現に向けた取り組みの一つとして、OSS を推進するために自動車検査証の電子化に取り組むことになったわけだ。

 これと並行して、車検証の電子化に向けた法整備も整えられており、令和元年年5月に公布された道路運送車両法の一部を改正する法律において、車検証の電子化についての条文が新たに組み込まれている。

 この改正法は、公布日から4年以内(令和5年5月まで)に施行する必要があるため、国土交通省は前倒しして準備を進める方針だ。

ICチップの空き容量にどんなものが入れられるか検討されている(出典/国土交通省)

 ところで、海外では車検証のデジタル化は進んでいるのか? 国交省の資料を見ると、実際にはオランダ、スロバキア、オーストリアはIC登録証を導入しているが、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツなどの主要欧米諸国は紙のままだ。

オランダのIC登録証。右が紙様式(出典/国土交通省)

 例えばオランダのIC登録証の場合、平成26年1月からIC化がスタート。新規登録、変更登録、移転 登録時すべてで新規発行され、ポリカーボネイト製のIC登録証が郵送される仕組み。

 また、ICチップの空き領域には車両のモデルやグレード、ボディカラー、車体番号の打刻位置など、車検証に記載されていない車両情報を入れこむことも検討されている。

車検証のデジタル化は自動車ユーザーにとってどんなメリットがある?

クルマのフロントウインドウ上面に貼り付ける検査標章のステッカーは現状では支局で印刷している(出典/国土交通省)

 車検のデジタル化で我々、自動車ユーザーが受けるメリットはあるのだろうか?

 すでにOSSよって登録手続きがオンラインで行うことができるようになっているが、さらに車検証のICカード化によって電子化がさらに進み、車検の有効期限を示す検査標章ステッカーを郵送で送ってもらい車両に貼ることになれば、自動車整備業界の人手不足対策や手続きの非接触化のために大きく貢献することは間違いない。

 こうした車検証のICカード化やドライブスルー化によって、検査機関への来訪が不要になることから、自動車ユーザーにとっては、車検費用の軽減につながるのは間違いない。

 しかし、デジタル化によって逆にコスト上昇が懸念されるぼか、IC車検証のセキュリティ対策がしっかりできるのか不安要素も多い。

 クルマのメンテナンスフリー化がここまで進んだ現在、2年に1度の車検を見直す時期になっているのではないだろうか(ただし旧車は安全のため、従来の車検を受ける必要性もあると思う)。

 そもそも車検の目的がクルマの安全性を確保するだけでなく、重量税や自賠責保険の加入を確実なモノとするためであれば、そのためにデジタル化するほうが、はるかに効率が良いと思うのは筆者だけではないだろう。

 今回の更新手続きのドライブスルー化や車検証のIC化でも、納税確認や自賠責の加入確認は自動化することで効率化するシステムが考えられているらしい。

 そのほか、まだまだ簡素化できる、最適化できる部分はある。2018年度からはナンバープレート自動読み取り装置を使って、車検の期限切れを瞬時に確認できるシステムの導入が進んでいる。

 これが全国に完全普及されれば、車検切れ状態で走行しているクルマは大幅に減少するハズだ。

 ドライブスルー化や車検証のICカード化と合わせて、自動車交通をより安全、確実なモノとしていくために車検制度をより機能させていくようになることを期待しよう。

【画像ギャラリー】こんなにコンパクトで便利! 海外のIC車検カードはこうなっている?

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