50歳以上のクルマ好きは、ほとんどがスーパーカー世代ではないだろうか。彼らが熱狂していたクルマの多くが、リトラクタブルヘッドライトを採用していた。
カウンタックやフェラーリ512BBに憧れていたが、もちろん買えない。現実の世界では当時、デートカーといわれたプレリュードやセリカ、シルビアを60回払いのローンを無理やり組んで買った人も多かった。
今回は、1980年代に20代だった若者が熱狂したリトラクタブルヘッドライトのクルマ代表として、セリカ、プレリュードの中古車を取り上げたいと思う。
文/萩原文博
写真/トヨタ ホンダ ランボルギーニ
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当時、スペシャルティといえばリトラクッラブルヘッドライトだった
筆者は1970年生まれで現在50歳。幼少期にスーパーカーブームそして漫画『サーキットの狼』を体験したことで、ランボルギーニ・カウンタックやフェラーリ512BBといったクルマが採用しているリトラクタブヘッドライト=“カッコイイクルマ”と刷り込まれた。
日本車として、初めてリトラクタブルヘッドライトが採用されたのは1960年代に登場したスポーツカーのトヨタ2000GTだったこともあり、リトラクタブルライトは高性能スポーツカーの必須アイテムとなった。
時が流れて1980年代、リトラクタブルヘッドライトはスポーツカーだけでなく、当時“デートカー”と呼ばれたスペシャルティモデルにも拡大した。
その代表例が2代目~3代目のホンダプレリュードである。ライバルといわれていたS12型日産シルビア/ガゼールもリトラクタブルライトを採用していたが、人気面では圧倒されていた。
そして1980年代のリトラクタブルヘッドライトブームを象徴する映画が1987年に公開された。
その映画は『私をスキーに連れてって』だ。この映画に登場するクルマというとST165型のトヨタセリカGT-FOURを思い浮かべる人が多いが、映画のオープニングで主人公の愛車として登場するのがトヨタカローラIIリトラだ。
すなわち『私をスキーに連れてって』の劇中に登場する重要なクルマはすべてリトラクタブルヘッドライトを採用したクルマばかり。これが当時の若者の世相を反映したものといえる。
余談ではあるが、劇中に出てくる主人公のたまり場であるゼファーインは筆者の自宅の近くにあったが、現在はマンションに建て替えられてしまった。
リトラクタブルライトはスポーツカーだけでなく、1981年に登場したマツダコスモなどにも普及したが、国産車では2002年に生産終了したマツダRX-7を最後に採用されなくなった。
その理由は安全基準の変更によるもの。歩行者保護の重要性が高まり、ボディの突起物を減らすように設計されるようになったこと。
そして外国ではヘッドライトの常時点灯が義務づけられている国もあり、リトラクタブルヘッドライトに逆風が吹いたのだ。
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