バッテリーのヘタリには速やかに対応すべし
では、具体的にバッテリーのトラブルを防止するための対処法を解説していこう。
まず挙げたいのは、バッテリーがヘタっていると感じたら、なんとかなる、まだ大丈夫と思っていないで、「速やかに対応する」ことだ。
バッテリーが弱っていると特に感じるのは、朝イチでのエンジンスタート時のセルモーターの回り具合だ。
その時にはエンジンが掛かり、その後も日中は何度かエンジンをかけても、普段通りに勢い良くセルが回るので、「バッテリーの電圧が落ちていたけど、走行して充電できたから回復したんだな」と判断してしまう人もいるのではないだろうか。
たしかにそんなケースも皆無ではない。しかし気温が下がった状態とはいえ、昨年はそんな状態になったことがないのであれば、確実にバッテリーが弱ってきている兆候だ。
それなのにそのまま乗り続けるのは、バッテリー上がりを招くことになるのは、当然の結果なのである。
朝イチのエンジン始動でセルモーターの回転が鈍ってきたら、バッテリーが弱ってきた証拠。
補充電を行なったり、整備工場やカー用品店でバッテリーの能力を点検してもらうなどして、バッテリーの交換時期を見極める材料とすることだ。
最近は補水不要のMF(メンテナンスフリー)バッテリーが主流になっているが、補水不要と密閉型は構造が異なり、補水不要のMFバッテリーでもバッテリー液はわずかずつ減っていく。
銘柄によっては補水可能なタイプのMFバッテリーもある。この補水作業時に使うのはバッテリー補充液で、基本的には単純な精製水だ。
またバッテリー液である希硫酸が若干含まれているタイプも存在する。こうしたケミカルは短期的には効果はあるかもしれないが、あまりお薦めできない。
バッテリー内部のイオンのバランスを狂わせてしまうと、極板とバッテリー液のイオン交換のサイクルが正しく行なわれなくなってしまう。
無理にバッテリーを回復させようとケミカルなどを使うのは、疲労時に怪しげな栄養ドリンクを飲むようなものだ。
夜間の信号待ちなどアイドリング時の電力消費を抑えるべし
続いて、バッテリーが弱ってきたな、と感じたら行なうべきは、アイドリング時の消費電力を抑えることだ。
クルマの発電機であるオルタネーターは、消費する電力に合わせて発電力を変化させることができる。磁力を発生させる電磁石に与える電力を変化させることで、同じ回転数でも発生する電力を上下動させることができるのだ。
それでもエンジン回転数が毎分750回転くらいのアイドリングでは、発生する電力にも限界がある。
走行中は発電した電力だけで供給は間にあうが、アイドリング時に消費電力が大きいとバッテリーからも電流を供給しなければならなくなり、ますますバッテリーが弱ることになる。
エアコンの風量が大きくなっているのであれば、ファンの風量を落としてやる。リアウインドウの曇りを解消させる熱線式のデフォッガーを作動させるのは、かなり消費電力が大きいので、こういう時には使わないほうがいいだろう。
ブレーキランプがLEDではなく電球が光源であれば、長い信号待ちではNレンジに入れてパーキングブレーキを使えば、消費電力を抑えられる。
夜間はヘッドライトも信号待ちでは道交法上は点灯したままにすることになっているが、先頭車両でなければスモールランプにしたほうが、前走車からの反射による眩しさからも解放されるので、消灯するのも効果的だ。
ちなみに国土交通省は2020年4月以降に販売される新型車(継続生産車は2021年10月から)に対して「オートライト」を義務付けている。
ただし、オートライトのクルマはオルタネーターの制御や発電性能も十分に考えられているので、信号待ちでスモールライトに切り替えて消費電力を抑える操作の必要性は薄い。
むしろそれによってヘッドライトを再び点灯させることを忘れてしまうと、無灯火になって危険だ。
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