アイドリングストップも状況に応じて使い分けるべし
アイドリングストップはバッテリーには厳しい機構だ。エンジン車にとって、アイドリングは無駄に燃料を消費している状態だ。
エアコンや灯火類、オーディオなどを使っていれば、アイドリングによってオルタネーターが電力を作り、供給しているが燃料の熱エネルギーが発電に使われている割合はわずかなものだ。
そのため無駄なアイドリングを自動的に停止させる機構がアイドリングストップだが、これは燃料消費を抑える反面、バッテリーにはかなり厳しい環境となってしまう。
冒頭に書いたように、バッテリーはセルモーターを回す際に、一気に大電流を発生させる。
これを信号待ちの度に行なうことはバッテリーの寿命を縮めることにつながる。そのため、自動車メーカーはアイドリングストップ機構に付随して短時間にバッテリーの電圧を回復させる充電制御や、充放電に強く大容量の専用バッテリーを搭載するなどの対策を施している。
しかし、それでもバッテリーは劣化が避けられないので、もしアイドリングストップ車で、セルモーターの回りが鈍いと感じたら、アイドリングストップをキャンセルさせておくといい。
これによってバッテリーの負担を減らし、バッテリー上がりによる立ち往生を防ぐことにつながるだろう。
長持ちさせたければパルス充電をすべし
バッテリーの内部で何が起きているか、ご存じだろうか。通常のクルマの電装用に使われる鉛酸バッテリーは、鉛の極板と希硫酸がイオン交換をすることで電力を貯めたり放出している。
これは理論上では充放電を繰り返しても同じ状態を保てるものだが、実際には鉛のイオンと硫酸のイオンが少しずつ結合して結晶化してしまう劣化が起こってしまう。これをサルフェーションと言い、鉛の結晶が極板表面に付着、堆積していってしまうのである。
サルフェーションによって極板はバッテリー液と接触している面積が減ってしまうため、導通が悪くなる。これによってバッテリーが作れる電力が低下してしまうのだ。
さらにバッテリー液内の硫酸の濃度も下がってしまうため、比重も下がる。これらによってバッテリーの持つ起電力が低下してしまっているのである。
以前なら、サルフェーションが進行してしまったバッテリーは、電圧が低下して使えなくなった。
しかし現在では、このサルフェーションを解消させる方法も考え出されている。それが「パルス充電」というもので、直流電流のバッテリーに微細な電圧変化を与えながら充電することにより、サルフェーションを解消させることができるのだ。
バッテリーの寿命の90%はサルフェーションが原因といわれており、パルス充電を定期的に行なうことで、物理的に壊れるまでバッテリーを使うことができるともいわれている。
ということは逆に補水できないタイプは寿命が短くなってしまうこともあるのだ。
パルス充電器は5000円前後からと、個人用にも手に入れられるほど安くなったし、バッテリーに取り付けて走行中に発電した電力をパルス化してバッテリーのサルフェーションを解消させてくれる電子アクセサリーも出回っている。
相当、起電力が落ちサルフェーションが進んだバッテリーを元の状態近くまで回復させるのは、何度も充放電を繰り返す必要がある。
1回の補充電で回復できる程度は限られる。定期的に補充電をパルス充電で行なえば、バッテリーは長持ちするが、それが難しければバッテリーにパルス発生器を取り付けるか、バッテリーは消耗品と割り切って、定期的に交換するかだ。
バッテリーはほぼ100%リサイクルされており、環境への影響も少ない。なお、バッテリーを充電する際には、クルマに接続したままではトラブルを起こす場合もある。
バッテリー充電器の種類と車種によって対応が異なるので、ディーラーなどで相談したうえで作業するようにしよう。
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