N-BOXに先んじて機能を投入! スラッシュ最大の売りは?
スラッシュの先駆的な試みとしては、N-BOXより先に、後席の前後スライド機構を採用したってのもあるんだよね。
初代N-BOXは、フィット譲りの後席チップアップ(座面を跳ね挙げて高い荷物を積める機能)がウリだったけれど、そのため後席の前後スライドはできなかった。
いっぽうスズキやダイハツは前後スライド命。どっちが優れているかの勝負が展開されていたんだけれど、スラッシュはその両方を実現!
その後N-BOXにも移植されたので、スラッシュ独自の機能じゃなくなったけど、登場時点では一番便利な軽だった……と言えなくもない。
そしてそして、N-BOXスラッシュ最大のウリは、ファッション性だった!
ホンダは「ファンキー」をキーワードに、カリフォルニア調の「ダイナー」や、ハワイ調の「グライド」、テネシー調の「セッション」という、インテリアカラーパッケージを準備してくれたんです。
名前を聞くとちょっとこっぱずかしいけど、実物はとってもセンスがよくて、「これ、このまま欲しいかも!」と本気で思いました。思い切りがんばっちゃいました的な、浮ついたニセモノっぽさは感じなかった。
ただね、これらのパッケージ車、私は実際に路上で見かけたことは一度もなかったんですよ……。広報車しか見たことナシ! 全然売れなかったんだろうなぁ。
“ジンクス”は破れず…N-BOXスラッシュが成功できなかった訳
N-BOXスラッシュは、もともと値段が高かった。N-BOXより9万円高かった。そこにこういうパッケージオプションを付けると、当然もっと高くなって、とってもゼイタクな軽になった。
近年、ゼイタクな軽はまったくフツーで、200万円超えなんてぜんぜんアタリマエだけど、多くの人がオプションで奢るのは、高性能ナビとか後席モニターとか、あとは押し出し感を高めるギラギラ系の外装とかで、こういうセンスのいいファッション的な内装にカネをかける人はほとんどいない。
正直なところ、「ダイナー」とかって、カタログを見たら「これはやりすぎだろ!」「ハズカシ~」って思ってしまう雰囲気だったし。キマリすぎだったんです。
フツーの人がキマリすぎなファッションで身を固めたら、目立っちゃって恥ずかしいでしょ。そこのところの手加減ができなかったと申しましょうか。あまりにもやり尽くしてしまったんですねスラッシュは。
結局、高いだけでちょっと室内が狭い、単に割高なクルマということになり、一貫して売れませんでした。
そして、N-BOXがモデルチェンジしてからは放置プレイ。無念……。
でも、今写真を見返しても、N-BOXスラッシュってスタイリッシュだったよね。どーんとした四角い顔を張り出しつつ、サイドウィンドウが後ろに行くにしたがってシュッとすぼまる形状は、どこかアメリカンでカッコよかった。
カッコよすぎる軽は売れないというジンクスがあるけれど、スラッシュもそのジンクスを破ることはできなかった。でもナイストライでした! 合掌。
コメント
コメントの使い方