コスト的に厳しい軽自動車のフルハイブリッド車
ここで出てきたのが2つ目のハードル。1つ目のハードルである2030年CAFEをクリアできれば、しばらく安泰のハズだった。
イメージとしては2022年~2025年くらいにフルハイブリッドを出し、10年や15年は売れるという目論見。しかし突如、文頭の通り、菅義偉首相が「2050年にカーボンフリー」を打ち出し、軽自動車も含むことになる。
2050年カーボンフリーとは、2050年に普通のガソリン車を売らないという意味。藻など植物から作った代替燃料や、どこかで二酸化炭素の吸収するぶんのコストが上乗せされたガソリンなら買えるけれど、おそらく高価。事実上乗れなくなる。
したがってクルマの寿命を15年と仮定すると、2030年代半ばには電気自動車にしなくちゃならないのだった。
巨額の投資をしてフルハイブリッドを開発しても、2030年代に入ったあたりから売れ行き伸び悩んだら、コスト的に厳しい。
はたまた現在160万円くらいの軽自動車がフルハイブリッドで180万円になった場合、3~4年すれば安くなっていく電気自動車と同じくらいの価格となる可能性もある。同じ価格であれば電気自動車のほうが有利。
というのも地方に行けば深刻なガソリンスタンド不足になっている。今後燃費向上が一段と進むとさらに経営的に厳しくなり減ることだろう。
電気なら日本全国津々浦々どこにでもある。極めて劣化の少ないリチウム鉄電池などを使い、実用航続距離120kmくらいの電気自動車が出てきたら、さらにハイブリッドは不利になる。
おそらく軽自動車メーカーすべてが2つ目のハードルを厳しいと感じているハズ。フルハイブリッドを出すことにしたと思われるダイハツは、早めに出してできる限り長い期間ハイブリッドを販売してモトを取ろうと考えているに違いない。
スズキもダイハツに遅れることなくフルハイブリッドを出してくるかもしれません。いや、スズキは電動化技術でトヨタの援助を受けられることになっている。もしかするとダイハツのフルハイブリッドシステムをスズキも使う?
こうなるとコスト的に厳しいのがホンダと日産/三菱。どちらもハイブリッド技術は持っているが、大量生産するダイハツやスズキと真正面から勝負するとなれば厳しいか?
だったら最初から電気自動車で勝負に出てくるかもしれない。ホンダは中国最大の電池メーカーCATL(寧徳時代新能源科技)に出資しており、2~3年すれば安価なリチウム鉄電池を調達できる。
日産も中国で価格勝負できる電池をスタンバイしているため、ハイブリッドより安い価格を付けられるようになるだろう。
いろんな意味で軽自動車業界は大混乱になっている。さらに中国から実用航続距離120km程度の安価なK-Car(日本の超小型モビリティに限りなく近い電気自動車。中国だとエアコンも付いて60万円程度)が出てきたら、農村部の足として軽自動車より重宝されることだろう。
今までぬるま湯に浸かっていた軽自動車業界ながら、サバイバル合戦になります。
コメント
コメントの使い方