毎年、さまざまな新車が華々しくデビューを飾るその影で、ひっそりと姿を消す車もある。
時代の先を行き過ぎた車、当初は好調だったものの、市場の変化でユーザーの支持を失った車など、消えゆく車の事情はさまざま。
しかし、こうした生産終了車の果敢なチャレンジのうえに、現在の成功したモデルの数々があるといっても過言ではありません。
訳あって生産終了したモデルの数々を振り返る本企画、今回はトヨタ ガイア(1998-2004)をご紹介します。
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文/伊達軍曹、写真/TOYOTA
■当時大ヒット中のホンダ オデッセイの対抗馬として登場したガイア
低ルーフミニバンの先駆けとして大ヒットを記録した初代ホンダ オデッセイに対抗すべく、初代トヨタ イプサムをベースに開発。
しかし5ナンバーサイズにこだわったことが逆に仇となったか、競合並みの高級感を訴求することができずに「やや中途半端な存在」となってしまい、1代限りで消滅したミニバン。
それが、トヨタ ガイアです。
トヨタ ガイアは1998年5月、当時大人気となっていた初代ホンダ オデッセイの対抗馬としてデビューしました。
ベースとなったのは初代トヨタ イプサムで、イプサム同様にコロナプレミオのプラットフォームを採用したため、ボディサイズは5ナンバー枠に収まっています。
初代イプサムはホンダ オデッセイに室内の広さや高級感の面で劣っていましたが、ガイアは仮想敵であるオデッセイと真っ向勝負をするべく、5ナンバーサイズは死守しながらも全長を90mm、全高を20mm延長することで室内空間を拡大。
それと同時に、いわゆる高級感が感じられる演出を各所に施すことで、強敵であった初代オデッセイを打ち破らんとしました。
搭載エンジンは2L直4ガソリン自然吸気と2.2L直4ディーゼルターボの2種類で、トランスミッションは全車コラム式の4速AT。
駆動方式はFFおよび4WDで、ガソリン車のみに用意された4WDシステムは、前後輪のトルク配分をほぼ100対0のFFに近い状態から、50対50の直結4WDの間で連続的に可変し、さまざまな走行条件下で最適な駆動力配分を実現するという「アクティブコントロール4WD」でした。
外観デザインは、初代イプサムがベースとはいえ、外板パネルはすべてガイアの専用設計。
初代オデッセイによく似たそのフォルムは、似ていることの良し悪しはさておき、確かにイプサムよりもシックで高級感のあるものではありました。
そんなこんなでスタートしたトヨタ ガイアでしたが、セールスはさほど振るいませんでした。
2001年4月にはマイナーチェンジを行ってガソリンエンジンを直噴タイプに変更するなどのテコ入れを行いましたが、状況は好転せず。
そのためトヨタは2004年8月にガイアの生産を終了し、同年9月には販売も終了。そしてその後、「2代目ガイア」が登場することはありませんでした。
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