脱ガソリンでハイブリッドはガラパゴス化してしまうのか!? 日本メーカーが開発を続けるハイブリッドの未来とは?


■トヨタがリードするハイブリッドシステム

1997年に登場した初代トヨタ プリウス。手塚治虫とそのキャラクターたちを登場させたCMが未来の自動車を感じさせた

 というわけで、風評とは裏腹にますますハイブリッドの重要性は高まっているわけだが、技術競争の方向性はほぼ定まったという印象がある。

 台数的にも性能面でも、競争をリードするのはやはりいわゆるTHS、トヨタ・ハイブリッド・システムだ。

 その基本的な動作原理は97年デビューの初代プリウス以来変わっておらず、遊星ギアを使った動力分割機構のサンギアに発電機、プラネタリーキャリアにエンジン、リングンギアに電動モーターを配置し、走行状況やバッテリー充電レベルに応じて適宜3つのパートが負荷をバランスして受け持つ。

 大負荷時にはエンジンからのトルクが直接タイヤまで伝わるモードがあるため、分類上はシリアル・パラレル型となる。

 このタイプのハイブリッドは世界でトヨタしか造っていないが、昨年累計1千500万台を達成。年産でも200万台オーバーで数的にはライバルを圧倒している。

 また、長年熟成された結果燃費もトップクラスで、新型ヤリスハイブリッドがWLTCモード36km/Lをマーク。これは1kmあたりCO2排出量でいうと65g/kmに相当し、日本の電力会社平均で計算すると電費7.6km/kWhのEVに相当する。

 もちろん、EVは現状のままでも発電所のCO2排出量が減れば、何もせずともその分カーボンニュートラルに近づくわけだが、それが容易なこっちゃないのは前述のとおり。

 電力エネルギーの脱炭素化を進めるには時間がかかる。その過渡期には効率のいいハイブリッドをうまく活用することが重要。この数字を見てもらえばそれは一目瞭然だと思う。

■トヨタを追って独自の進歩を遂げた他社HVたち

e:HEVを搭載したホンダ フィット。トヨタのハイブリッドに対抗する過程で多様な魅力が生まれていった

 このTHSを追いかけて、一時は各社さまざまなハイブリッドシステムがトライされた。

 1モーターパラレル型としては、フライホイール部にモーターを仕込んだホンダのIMAや、7速DCTと組み合わせたホンダのi‐DCD。

 同様にフライホイール部にモーターを配置して7速ATと2クラッチシステムを組み合わせた日産のシステム。ホンダIMAに近いがクラッチを一つ追加してEV走行を可能にしたスバルe‐BOXERなど、最初のころは「1モーターで何とかしよう」というシステムが多かった。

 しかし、現在では1モーターシステムはほぼ姿を消しつつあり、「燃費でトヨタと勝負するには2モーターでないと無理」というのがコンセンサス。

 その結果、ホンダのe:HEV、三菱のPHEVシステム、日産のe‐POWERなど、エンジン直結のジェネレーターで発電し、駆動専用モーターで走るシリーズ型が主流になってきている。

e‐POWERを搭載した日産 ノート。アクセルを離すと減速する「ワンペダル操作」で安全対策という副次的効果をもたらした

 ただし、純粋なシリーズハイブリッドはエネルギー変換ロスとモーターの効率低下によって、高速域で燃費が伸びないのが欠点。これを補うため、ホンダと三菱はエンジントルクを直接タイヤに伝えるクラッチが装備されていて、高速域ではエンジン駆動走行に切り替わる仕組みが備わっている。

 このタイプではホンダの追い上げがすごい。フィットは燃費を追いかけないコンセプトだったためヤリスに水をあけられたが、アコードは同クラスのTHSと燃費で互角。はじめて、燃費性能でTHSにまともな勝負を挑めるコンペテイターが登場したという印象だ。

 また、日産e‐POWER勢は直結クラッチを持たないハンデをワンペダルのユニークなドライバビリティでカバーし、セールス面でTHS勢と互角に戦ったのが立派。新型のノートe‐POWERでは燃費・ドライバビリティをともに進化させてきており、日本の交通環境では侮れないポテンシャルを持っている。

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