北米や欧州などで「2030年以降は電動車以外は禁止」という決定を受けて、各メーカーから電気自動車の発売が続いている。
日本のメーカーからも新型のEVが登場しているが、日本メーカーがもっとも得意としているハイブリッドはどうなってしまうのだろうか? ハイブリッド車の今後を占う。
文/鈴木直也、写真/TOYOTA、HONDA、NISSAN
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■日本のメーカーがハイブリッドカー開発を続ける理由
最近、「2030年代にはハイブリッドも禁止になるんですか?」とか「EV時代になるとハイブリッドはガラパゴスになるって本当?」といった質問をよくされる。
これは、昨年10月に「2050年にカーボンニュートラルを目指す」という菅総理の所信表明演説がきっかけだ。
これを後追いするように、「2030年半ばにガソリン車の新車販売を禁止」とか、「東京都は2030年までに都内で販売される新車を電動車に切り替える方針」といった報道が相次いだ。
それ以前から、欧米圏で「2030年代には電動車以外は禁止」というニュースが話題になっていたから、ついに日本にもその波が押し寄せたか、多くの人がそう思ったのも無理からぬことといえるだろう。
しかし、自動車業界や専門家の認識はその真逆だ。
使い勝手に優れたエンジン車を今後10年ちょっとで禁止するのは現実的とは言い難いし、EVのみでカーボンオフセットを目指すなら火力発電所をすべて原発か再生可能エネルギー発電に置き換える必要がある。どちらも長期的に取り組まなければ解決できない問題だ。
もし本気で脱炭素化を目指すならば、むしろハイブリッドこそ改革の切り札。EVか内燃機関かという二元論ではなく、ハイブリッド化で内燃機関車の効率を高めながら、適材適所にEVやPHEVを投入しつつ、並行して電力エネルギーの脱炭素化を進める。そういった全方位戦略が必要となる。
こういう地道な改革を積み重ねて行かないと、CO2削減の実効性を高めることはできない。茹でガエルだとかガラパゴスだとか揶揄されつつも日本の自動車メーカーがハイブリッド開発を続けるのは、カッコいい理想論だけではCO2は減らないし、それではメシが食えないことを熟知しているからなのだ。
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