■Cクラス:ディーゼルターボの良燃費が際立つ
エントリー高級メルセデスのCクラス。セダン、ステーションワゴン、クーペ、カブリオレと、Aクラス以上にバリエーションが多い。だが搭載されるエンジンのラインアップは、共通しており、以下の表のように、5パターン程度に分けられる。
現時点でのベースモデルは1.5リッター4気筒ガソリンターボエンジンのC180だが、これは次第に、48Vハイブリッドシステムを搭載したC200へと置き換えらえるだろう。
通常のスターター・オルタネーターに48V電気システムを組み合わせ、発進時のトルクをモーターで発生させてくれるBSG(Belt-driven Starter Generator)というマイルドハイブリッドシステムにより、ターボラグをカバーし、発進時は力強くスムーズになる。
回生充電もしてくれるので、燃費も良くなるといった効能もある。C200とC180 を比較したとき、WLTCモード燃費の上では、12.7km/Lが13.6km/Lへと約7%の改善代があるが、高速モードでは両者の差はほぼなく、フルハイブリッドのレクサスIS 300hの燃費18.0km/Lには、遠く及ばない。
しかし、Aクラス同様、ディーゼルターボに関しては、優秀な燃費だ。高速シーンであれば、19.2km/Lの低燃費であり、IS300hも真っ青のレベル。1600~2800rpmの間で400Nm(40.8kgfm)ものトルクがあり、どこからでも悠々と加速をして進む様子は実に頼もしい。
このディーゼルエンジン(OM654)は、ディーゼル特有のノイズを許容できれば、現時点でCクラスのベストバイグレードといえる。
このOM654というディーゼルエンジンは、2018年10月のビッグマイナーチェンジで更新されたもので、ノイズは前型OM651の「ガラガラ」という音から、「ジャラジャラ」という音に若干改善してはいるが、ガソリンの滑らかなフィーリングを期待すると、ひっくり返るレベル。それくらいノイズはやかましい。
筆者は、ビックマイナーチェンジ前のC220dに乗っているが、冷間スタート時は、なかなか激しいガラガラサウンドを響かせる。ただ、エンジンが温まった高速走行中には、エンジンの存在感が消えていくのは面白い。
しかし、これを凌駕しているのが、マツダ6の2.2Lディーゼルだ。しかも、半額ほどの価格。マツダ6のディーゼル6MTに乗ったことがあるが、トルクフルでとても扱いやすく、実燃費もめちゃくちゃよかった。マツダ6は、もっと評価されていい。
ハイパワーグレードのC43 4MATICエンジンは、最高出力390ps/最大トルク520Nmの3リッターV6ツインターボ(390ps/6100rpm、520Nm/2500〜5000rpm)だ。
WLTC総合燃費は9.7km/Lと、えらいことになっているが、これは、スカイライン400Rの3リッターV6ツインターボ、最大出力405psと同じくらいの燃費。C43の燃費は、現存する3リッターターボ車のレベルとしては、妥当といえるのかもしれない。
■Sクラス:S400dの良燃費は、LS500hでさえ及ばない
現行型メルセデスSクラスは、2021年1月28日に日本発売が開始になった最新型のモデルだ。Sクラスは、ハイエンドサルーン属する欧州Fセグメントに分類されるクラスであり、動力性能や静粛性、環境性能の高さなど、オールマイティである必要がある。
現時点は、3リッター直6ターボのS400dと、3リッター直6ガソリンターボの、2グレードとなる。
旧型Sクラスには、27マイル(約43km)のバッテリー航続距離をもつ、プラグインハイブリッドモデルの560eが日本市場にもあったが、現時点はラインアップから外れている。おそらく、そう遠くないうちに新型Sクラスへもプラグインパイブリッドが投入されることだろう。
Sクラスと車格で張り合える国産車は、レクサスのフラッグシップ「LS」しかないが、LS500hであっても、S400dの高速燃費のよさには届いていない。LSも、欧州市場の速度域に合わせて作られているクルマなのだが、S500とLS500のガソリン車同志を比べても、LS500のほうが不利にも見える。
「日本車メーカーの強みは燃費」といわれることがあるが、現時点(2021年2月)のこの2台に関しては、メルセデスの方が燃費は良い、というのが実情だ。
フラグシップとして、どちらのほうが優秀だ、とまではいえないが、ノイズや振動の大きいディーゼルエンジンを、フラッグシップにまで持ち込むまでに進化させたメルセデスのエンジニアリングは非常に素晴らしいことだと思う。
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