安全性といえばボルボ 今も世界一安全なのか?

■クルマの衝突安全基準はどうやって定められる?

1956年に発表されたボルボのアマゾン。3点式シートベルトを世界で初めて標準装備したモデルだ
1956年に発表されたボルボのアマゾン。3点式シートベルトを世界で初めて標準装備したモデルだ
ボルボが特許を取得した3点式シートベルト。まだ安全装備がそれほど重要視されていなかった時代のことであった
ボルボが特許を取得した3点式シートベルト。まだ安全装備がそれほど重要視されていなかった時代のことであった

 現在販売されているクルマは、通称WP29と呼ばれる自動車基準調和世界フォーラムでの議論に基づいた保安基準や各国の法律で衝突安全基準が定められている。

 衝突安全基準は、あくまでもクルマの安全性を一定以上に確保させるために日本では道路運送車両法の保安基準で、衝突実験の方法やダミー人形や車体の損傷レベルを定めているものだ。

 自動車メーカーはこれに合致するようクルマを開発し、証明することで型式認定を取得できる。それによってクルマを1台1台検査することなく、新車として登録してナンバープレートを取得することができるのだ。

 そうした自動車メーカーが社内で行なっている衝突実験とは別に、発売後のクルマの衝突実験を行ない、その結果を情報として公開しているNCAPという制度があることをご存じだろうか?

欧州で実施されている自動車安全性テストのユーロNCAPで、ボルボは多くのモデルで高い評価を得ている
欧州で実施されている自動車安全性テストのユーロNCAPで、ボルボは多くのモデルで高い評価を得ている

 NCAP(New Car Assessment Program=新車評価制度)とは、もともとは消費者団体の意見が強い北米市場で1979年から始められた、クルマの安全性を評価する制度。

 実際の衝突実験の内容を公表することで、自動車メーカーの謳い文句を鵜呑みにせずユーザーがクルマの安全性を判断するための材料としてもらうものだ。

 そんな北米市場の活動を受けて1997年には欧州でユーロNCAPがスタートして、日本ではJNCAPの名で1995年から自動車事故対策センター「現在はNASVA(ナスバ)=独立行政法人自動車事故対策機構」が実施している。

 これはあくまでも消費者がクルマの性能を参考にするための指針で、衝突安全基準に合致しているか検査するものではない(実質的に問題があればメーカーは対処しなければならなくなるのだが)が、公平性の高いデータであることから、自動車メーカー自身も評価基準として採用しているほどだ。

 ではボルボはこのNCAPのテスト結果で世界一安全といえるのか? ボルボのユーロNCAPの情報を見ると、現在の評価方法に変わった2009年以降は全車5つ星の評価を受けており、乗員保護、チャイルドシート利用時の保護、歩行者保護、衝突被害軽減ブレーキなどといった各評価要素のレベルも高い。

 したがってボルボ車の安全性には疑いの余地はない。けれども他社メーカーでも安全性には最大限の努力を費やしているのでは、という思いもあるのではないだろうか。

■NCAPの評価がクルマの安全性のすべてではない

ボルボXC40のユーロNCAPのテスト結果は成人乗員保護性能が37.2点(97%)で5つ星など、多くのテスト項目で安全性能の高さを証明し、総合評価で最高の5つ星として認定
ボルボXC40のユーロNCAPのテスト結果は成人乗員保護性能が37.2点(97%)で5つ星など、多くのテスト項目で安全性能の高さを証明し、総合評価で最高の5つ星として認定

ユーロNCAPのホームページ(リンク先)

 前述のようにボルボは1970年代から交通事故調査の研究チームを立ち上げて、本格的に事故を検証することでクルマの安全性向上に繋げる努力を続けてきた。

 先進国の自動車メーカーは、全車種で衝突安全性を重視しており、日本の自動車メーカーも安全性能に関してはレベルが高い。例えばマツダはJNCAP、ユーロNCAPで乗員保護などのパッシブ領域ではほぼ全ての車種で最高ランクの評価を獲得している。

 しかしながら衝突安全基準をベースに考えているのか、絶対的な安全性を優先しているのかでは、出来上がったクルマは大分差が出ることになる。

 前述の通り、ボルボは実際の交通事故4万件以上、7万人以上の死傷者を現地で調査し、その対策を考えて車体に盛り込んでいる。安全性を最優先に、デザインや先進性、環境性能などを盛り込んでクルマを開発しているのだ。

次ページは : ■ボルボは世界一安全なクルマの筆頭に挙げられるのは間違いない

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