CR-Zは生まれるのが早すぎた!? 2030年問題でMTのハイブリッドスポーツはまた生まれるのか?

■CR-Zの販売状況

ルーフからリアのラインを見てもわかるように、後席の居住性はかなり悪い。尻上がりのボディがスポーティーさを演出する
ルーフからリアのラインを見てもわかるように、後席の居住性はかなり悪い。尻上がりのボディがスポーティーさを演出する

 CR-Zは登場した2010年当時スポーツモデル、特に一グレードではなく専用ボディのモデルが絶滅寸前だった時代に登場したというインパクトがあった。

 それに加え、スポーツモデルながらエコカー減税の対象になったことによるお買い得感の高さ(価格は上級グレードのαで6速MT、CVTともに249万8000円)により、2010年は月平均約2000台となる2万2372台という好調な販売を記録した。

 しかし2011年以降は、この種のクルマは登場時に販売が集中するという傾向はあるにせよ2011年/6794台、2012年/5060台、2013年/3007台、2014年/1315台、2015年/732台、2016年/1059台と販売は一気に落ち込み、一代限りの絶版もやむを得ない状況だった。

■なぜCR-Zの販売は落ち込んだのか?

運転席正面のメーター類がどことなく戦闘機のような雰囲気だ
運転席正面のメーター類がどことなく戦闘機のような雰囲気だ

 このことに関しては2つの理由が浮かぶ

●スポーツモデルと考えると刺激がもっと欲しかった

 CR-ZはハイブリッドカーながらMT設定があるなどのインパクトはそれなりにあったが、スポーツモデルと考えると絶対的な動力性能をはじめ刺激に欠けるところがあった。

 また燃費もCR-Zに搭載されたホンダIMAが簡易なものだったのもあり、1.6リッターNAエンジンを搭載していたスイフトスポーツの先代モデルなどに対し、「すごくいい」とまでは言えないのも事実だった。

●86&BRZの存在

 2012年に86&BRZが登場したことはCR-Zにとって不幸だった。

 というのも86&BRZは2リッターNAのスポーツエンジンの搭載による動力性能、FRゆえのエンジンパワーによりドリフト走行も可能といったスポーツカーらしい刺激に加え、価格も初期モデルのGグレード(標準グレード)なら6速MTで241万円とCR-Zとも迷えるものだった。

 そうなると装備内容やエコカー減税による実質的な価格や燃費もあるにせよ、趣味性の強いスポーツモデルはそのあたりのウエイトが実用車を選ぶ際に比べれば小さい(実用燃費も86&BRZはカタログ発表並と良好だ)。

 矛盾するようだが86&BRZのリアシートはそれなりに使える広さを備えているというのもあり、CR-Zのアドバンテージは少なかった。

 そんなことを考えていると、ハイブリッド専用車のCR-Zに対しては禁句ながら絶版になっているので言わせてもらうと、エンジン車にしてパワーアップなども行いよりスポーティな方向とし、エンジン車とした分で価格も下げたCR-Zがあったらと当時から感じていたのを思い出す(まるでかつてのCR-Xのようだが)。

 ただCR-Zは登場後大きな改良はあまり行われないイメージがあるホンダ車のスポーツモデルとしては、前述したマイナーチェンジや一部改良もあった。

 それに加え、特別仕様車が出たタイミングでシフトフィールが向上していたことなど発表されない改良も含め、「クルマを少しでも良くしていこう」という意欲が強かった点は高く評価できる。

■まとめ

よりスポーティーな方向に寄せつつ純エンジン車にした、かつてのCR-Xのようなモデルも見てみたかった。逆に考えるとCR-Xのハイブリッド版がCR-Zだと言えなくもない
よりスポーティーな方向に寄せつつ純エンジン車にした、かつてのCR-Xのようなモデルも見てみたかった。逆に考えるとCR-Xのハイブリッド版がCR-Zだと言えなくもない

 冒頭に書いたカーボンニュートラルもあり、ハイブリッドカーも中途半端な感が否めないトランスミッションが組み合わされる1モータータイプがこれから出る可能性は非常に低い。加えてCR-Zが専用ボディだったことも考えると、MTという点も含め今後CR-Zのようなスポーツモデルが出るというのは絶望的だ。

 これは仕方のないことだが、4代目モデルとなる現行フィットに3代目モデルまでのフィットにあったMTもあるスポーツモデルがないというのはあまりにも寂しい。

 「いいクルマだけど、存在感が薄れている」という印象のあるフィットのテコ入れとCR-Zがターゲットにしたユーザーの受け入れのためにもフィットのスポーツモデルの復活も望みたいところだ。

【画像ギャラリー】HVスポーツという個性!! 鮮烈に現れ静かに消えていっホンダ CR-Zを見る!!

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