■ステイホームで通販が伸び、貨物車も好調
前述した2021年1月や2月の販売台数は、登録車、軽自動車ともに商用車も含めたものとなる。例えば登録車のみの実績でみると、乗用車の販売台数は前年比97.3%なのに対し、貨物車は102.2%と微減微増なのに対し、バスにいたっては59.6%となり、車種別で状況がかなり異なっているのがわかるだろう。
貨物車は新型コロナウイルスの感染拡大でテレビやインターネッなどを活用した、通信販売が増えており、コロナ禍という状況でも物流は増え続けており、新車への代替え(乗り換え)が進んでいる。
一方で、バスについては、観光業に大きな痛手が出ている現状のなか、とくに観光バスを中心にもともとオーダーしていた新車をキャンセルするという事態が続いていることが影響している。
ただ、企業送迎などでは感染リスクを減らす意味で台当たりの、乗車人員を減らす動きがあり、平時の2倍、3倍のバスが必要となり、中古バスに関しては結構な動きがあると聞いている。
新型コロナウイルスの感染拡大による、1回目の緊急事態宣言が発出された当時、非常時における新車ディーラーの様子をさぐりに、街なかの店舗をまわってセールスマンに「このような状況で、どのように新車を売っていくのか?」と聞いた。
すると、「まずは、このような状況下でも雇用不安のない公務員、それとすでにリタイアされた年金を中心に生活されており、サポカー補助金の対象となる裕福なご高齢のお客様ですね」と答えてくれた。
さらに販売業界事情通によると、「新型コロナウイルス感染拡大により、たびたび出かけていた海外旅行どころか、国内旅行、そして外食もままならなくなり、富裕層にとってはお金の使い道がかなり限定される生活を余儀なくされました。
そのなかで“新車購入”に富裕層が流れる状況が、新型コロナウイルス感染拡大が始まった当初より目立っていました」と語る。事実、JAIA(日本自動車輸入組合)の販売統計を見ても、日本車では2020年のなか最も新車販売が落ち込んだ5月にはすでに4月比で回復傾向となっていた。
2020年6月8日にトヨタが“RAV4 PHV”を発売した。すると、あっと言う間に年度内生産分を売り切るといった事態が発生した(つい最近、大きなアナウンスもなく、注文再開している)。これは、“隠れ高額車”に富裕層が殺到するという需要を読み切れなかった結果と、トヨタ社内でも需要予測の失敗を指摘する声もあったと聞く。
RAV4だけど世間的には「まさか539万円(最上級グレード)もするとは思われないだろう」というわけなのである。
もともと、現場のセールスマンによると、夫婦とも地方公務員で子どもがいなかったりするお客や、校長先生など、ぱっと見た目にはそれほど富裕層には見えない人が実はかなり裕福なことがあるそうだ。
ただ社会的立場から“お金があるからドイツ車に乗ろう”という消費行動はとりにくいと考える富裕地方公務員も多いとのこと。
「地方公務員のお客様のなかには、プリウスの最上級グレードでフルオプションや、過去にはエスティマ ハイブリッドのフルオプション仕様を頻繁に入れ換えるといったご購入をされる方もいらっしゃいました。
はた目にはプリウスもエスティマも極端に高額なイメージはないので、まさに“隠れ高額車”になりますね」(新車セールスマン)。
東京都内ならば、ドイツ車などは当たり前のように走っているが、東京隣接県ですら輸入車の購入にはまだまだ勇気がいる。
ましてや、“自粛警察”なる物騒な方々がいるコロナ禍では、“いかにも”的な高額車をあえて“はずす”動きが目立つのである。いまでも一部仕様が長期の納期遅延となっているハリアーも販売現場で聞くと、
「ハイブリッドで4WDの最上級グレードに、本革シートなどオプションテンコ盛りの仕様をご購入されるお客様が想定外に多い」と現場で聞いたことがある。これも“隠れ高額車”を意識した購買行動と見てもいいだろう。
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