■ライバルは多いがトヨタならではの強みがある
かたや、周囲の競合車を見わたすと、かつてはもっと強敵だったはずのフィットにいまひとつ勢いがない。同時期に発売されたが、2020年の販売台数は9万8210台と伸び悩んだ。新鮮味の薄れた同門の強敵アクアも5万9548台、マイナーチェンジのあったスイフトも2万8108台にとどまった。
逆に、モデル末期でも7万2205台を販売したノートは、これから強敵になる可能性がある。
軽自動車にも競合する車種はあるだろうが、ヤリスを選ぶ人は軽自動車には抵抗を感じる層だろうから、そこは分けて考えてよいかと思う。
一方のヤリスクロスは、同じシリーズであることに違和感を覚えるほど外見の雰囲気が異なるが、インテリアや機構な共通性は高い。装備面でも、広く確保された荷室や電動テールゲート、運転席パワーシート、3分割可倒式リアシートなど、このクラスとしては初となるものを含め充実しているのも強みだ。
こちらの競合車は、同門のライズ/ロッキーがまだまだ侮れず、2020年に急減速したものの、まもなく新型になるヴェゼルも強敵になるのは間違いない。
GRヤリスについては、この類いのクルマは興味を持った人に行きわたると販売が急激に落ち込むことが多いが、トヨタではより多くの人に興味を持ってもらえるよう、「ちょこっとモビリタ×GRヤリス」のような新しい取り組みも行なっており、今後も新しい施策を考えていくという。
「ちょこっとモビリタ×GRヤリス」(リンク先)https://mobilitas.gazoo.com/posts/8911025 https://www.toyota.co.jp/mobilitas/index.html#news
■気になる点はあるが、そこは今後の改良に期待
クルマ自体に気になる点もないわけではない。例えば走りの面で、直進安定性や乗り心地やフロア振動など細かいところでは多々ある。ヤリスのADASは交差点の右左折は大丈夫だが、ACCが渋滞対応していないのも惜しい。
かといって、それが購入するかどうかにはあまり関係なく、ユーザーもそれほど多くを望んでいるわけではなさそう。
価格とデザインとすでに持っているものだけで充分に魅力的で、それなりに期待にも応えていて、クルマとユーザーの関係がちょうど上手くはまっていてよい状況にあるように見える。あとはできるところから徐々に改良していけば当面は御の字だろう。
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