“大きな羽根”が国産車から絶滅!? 消えゆく高性能車の象徴「ウイング」が示す時代の変化

■消えゆくウイングと新しい「格好良さ」への期待

トランクとウイングの間から覗き込むように後方視界を確保する手法も存在した。しかし大きすぎるウイングは空気抵抗の増加につながる
トランクとウイングの間から覗き込むように後方視界を確保する手法も存在した。しかし大きすぎるウイングは空気抵抗の増加につながる

 昨今、大きなリアウイングを装備する車種が減ってきたのは、世界的な環境対応が待ったなしの状況であることに加え、上記のようにさまざまな技術革新によって、走行安定性と燃費の両立がはかられてきているからだろう。

 市場では、ミニバンやSUV(スポーツ多目的車)の人気が高まり、一方で、セダンやクーペの車種が減っていることも、ウイングを装着したクルマを見なくなった要因だろう。

 2030年以降、世界各地域でエンジン車発売禁止の方向性が強まるとともに、電気自動車(EV)が普及するにつれ、新しい格好よさが造形されていくことへの期待がある。

 モーター駆動は、エンジンに比べより緻密な駆動力制御ができるようになり、走行安定性を高められる。スリップゼロを目指すとする自動車メーカーもある。

 また、床下に駆動用バッテリーを配置することで、より低重心かつ前後重量配分の適正化をおこなうことができる。エンジン車のようなラジエターグリルもほぼ不要になるだろう。それによる空気の流れも変わってくるはずだ。

 EV時代の高性能車とは、どのような姿が適切なのか。カーデザイナーの腕の見せどころだと思う。

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