■3種類用意されたエンジンの選び方
ヤリスを買う時は、まずエンジンを選ぶ。ノーマルエンジンは2種類を用意するが、推奨されるのは1.5Lだ。1Lは最高出力が69馬力、最大トルクは9.4kgmだが、1.5Lは120馬力・14.8kgmになり、動力性能はかなり向上する。
さらにWLTCモード燃費は、1Lが20.2km/L、1.5LのGは21.4km/Lだから、1.5Lは動力性能に加えて燃費も優れている。1.5Lの価格は1Lに比べて14万3000円高いが、それでも動力性能と燃費の違いを考えると1.5Lが買い得だ。
次は1.5L(CVT)のノーマルエンジンと1.5Lのハイブリッドを比べる。Gグレード同士ではハイブリッドの価格が37万4000円高いが、ハイブリッドGには、ノーマルエンジンでオプション設定されるバックガイドモニター(1万6500円)を標準装着した。
IRカット機能も充実するので、ハイブリッドとノーマルエンジンの実質差額は35万円に縮まる。
購入時に納める税額も異なり、2020年度の実績で、ハイブリッドは5万6900円安い。そうなると1.5Lノーマルエンジンとハイブリッドの最終差額は約30万円と考えられる。
そしてレギュラーガソリン価格が1L当たり145円、実用燃費がWLTCモードの数値とすれば(ノーマルエンジン:21.4km/L・ハイブリッド:35.8km/L)、1km当たりの走行コストは、ノーマルエンジンが6.8円、ハイブリッドは4.1円だ。
1km当たり2.7円の違いになり、30万円の最終差額を取り戻せるのは11万kmを走った頃になる。
1年間の走行距離が1万km以内の用途では、損得勘定を考えるとノーマルエンジンを推奨する。ただしハイブリッドは、ノーマルエンジンに比べて加速が滑らかで、静粛性も優れている。走行距離が短くても、運転感覚の違いに応じてハイブリッドを選ぶ方法もある。販売店の試乗車を乗り比べてから判断したい。
また1年間に1万5000kmを走る場合は、約7年間で差額を取り戻せるので、経済的にもハイブリッドのメリットが強まる。
基本的な選び方としては、1年間の走行距離が1万5000km以下ならノーマルエンジン、それ以上ならハイブリッドと考えれば良い。2020年の販売比率は、1Lと1.5Lのノーマルエンジンが54%、ハイブリッドは46%であった。
■グレードとメーカーオプションのベストチョイス
価格の安いXは、メーカーオプションのアルミホイールなどを装着できない。しかも14インチタイヤは燃費向上のために転がり抵抗を抑え、指定空気圧も前輪:250kPa、後輪:240kPaと高いので、乗り心地が硬い。総合的な商品力において、Xは推奨しにくい。
そこでベストグレードとされるのは、1.5LノーマルエンジンのG(175万6000円/CVT)、あるいはハイブリッドG(213万円)になる。ノーマルエンジンの場合、Gの価格は同じ1.5Lを搭載するXに比べて15万8000円高いが、スマートエントリーやエアコンのオート機能など、価格差に見合う装備が加わる。
そしてGを選んだ上で、メーカーオプションの3灯式フルLEDヘッドランプ(8万2500円)、ブラインドスポットモニターなど安全性をさらに高めるセットオプション(10万100円)、パノラミックビューモニター(4万9500円)を加える。
これらはいずれも安全性を高める装備だから、合計すると23万円少々の上乗せになるが、可能であれば装着したい。
さらにGに15インチのアルミホイール(5万9400円)を装着すると、タイヤの性格が変わって乗り心地も向上する。
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