■全車EV化の先駆けとなる『C40』はどんなクルマ?
そんなボルボが先日、「2030年までに全車EV化」という宣言とともにワールドプレミアしたのが、EV専用モデルの「C40」。40という数字からもわかるように、このモデルはコンパクトボディだ。
特徴は、伸びやかなクーペスタイルのリヤデザインだ。ボルボの“C”といえばこれまで「クーペ」を示していたし、C40のシルエットもいわゆる“クーペSUV”である。だからCがクーペを意味するのかと思いきや、実はそうではなく「クロスオーバー」なのだという。参考までにボルボはこのC40の説明において、「クーペ」という言葉は一度も使っていない。
C40の日本発売は2021年秋を予定。本国などではすでに同社初のEVとなる「XC40リチャージ」をリリースしているが、それは日本ではまだ発売されていない。日本においてはC40がボルボとして最初のEVになるという(その後XC40リチャージを発売予定)。
今回公開されたC40はモックアップであり、スペックの詳細などもまだ明らかになっていない。しかしながらボディ前半分がXC40に近いことからもわかるように、同社のコンパクトモデル用プラットフォームである「CMA(コンパクト・モジュラー・アーキテクチャー)」を使ったEVと考えていいだろう。
フロントデザインはボルボのEVを表し、リヤスタイルは既存のモデルにはない、Cピラー沿いに下ってテールゲートで左右をつなぐ細いラインを描くランプが特徴的。久々に登場するボルボのニューモデルだけに、随所に新しいテイストが盛り込まれている。
インテリアも、インフォテイメントシステムをGoogleと共同開発してAndroidを組み込むなど新しい試みが大きな注目だ。ざっくりといえば、AndroidAutoでクルマにスマホをつなげるのでなく、スマホ自体をクルマに組み込んでしまったとイメージすればいいだろう。もちろんクルマに関わるアプリが多く備わり、そのアップデートはオンラインでできるという。
■『C40』は販売の仕方から新しく! EVの敷居を下げ普及を狙う??
このC40は、販売においても新しい取り組みを行う予定だ。まず購入の入り口をWEBサイトとし、オンライン販売のみとする。
これは商談をスムーズに進めるためだけでなく、価格の透明化などを推し進める狙いもあるようだ。現状のクルマ販売は、値引きの有無などユーザーによって購入条件が異なるケースもある。それをなくし、だれもが同じ条件で購入する公平性も狙っていると考えていいだろう。
とはいえすべてをオンラインで行うのではなく、仕様のセレクトなどをオンラインで行ったのち、納車やアフターケアなどは従来同様にディーラーで行うことになる。ボルボは、今後導入するすべてのEVをオンライン販売にする計画だという。
また日本において、最初の100台のC40はサブスクリプションにて提供。このサブスクがまた驚くべきものだ。
まず、3カ月たてば追加負担なく自由に車両を手放すことができるという縛りのなさがスゴイ。そのうえ、車両代に税金やメンテだけでなく任意保険料まで含めたコミコミプランにするというから気軽である。
これは、手放すときの下取りを考えずにEVを選べるようになる、もしEVに馴染めなくても短期で気軽に手放せる、などユーザーメリットも多い。ボルボ・カー・ジャパンのマーティン・パーソン社長は「これでEV購入のハードルを下げる」と意気込む。
ところで、C40の実車お披露目はニューヨーク、ロンドン、そして東京の3カ所で同時に行われた。世界のわずか3都市のひとつに東京が選ばれたのは日本人として素直にうれしいが、そこにはどんな狙いがあるというのだろうか。
マーティン社長は「それはボルボがいかに日本のマーケットを重視し、期待しているかの証」という。また「日本市場でEVの話題を喚起し、他ブランドも含めてその存在感を高めていくのも狙い」とのこと。
いずれにせよボルボ初のEV専用モデルとなるC40。ボルボが目指す「プレミアムEVマーケットのリーダー」への大きな前進となりえるのか。そして、日本でどう受け入れられるのか。そんな視点からも興味深いモデルだ。
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