惜別S660!! ホンダ入魂のミドシップ車列伝!!! 軽トラからNSXまでユニークな傑作&珍作も!?


■初代NSX/1990年登場

1990年登場の初代NSX。その存在はフェラーリのクルマ作りにも影響を与えた

 いま振り返れば、初代NSXは偉大だった。オールアルミボディや乗りやすいスーパースポーツといった新機軸を数多く世に問い、世界のスーパーカーに多大な影響を与えた。フェラーリ崇拝者である私としては、NSXがフェラーリのクルマ作りを変えたことが、一番大きな功績だった気もしている。

 ただ、当時は、「スーパーカーはそういうもんじゃない!」と強く思った。フェラーリやポルシェとガチで戦うには、あまりにも教科書的で薄味だったのだ。

 思い起こせば、ホンダの栃木テストコースで行われたNSXのプロトタイプ試乗会には、想定ライバルたるフェラーリ328が用意されていて、そちらも比較試乗することができた。

 当時私は、池沢早人師先生のおかげでテスタロッサを知ったばかりで、まだ328は未経験。ホンダ様のおかげで、初めて328を運転させていただきました。

 あの時の328は、おそらく日本仕様。排ガス対策により、今自分が所有しているヨーロッパ仕様と比べると、ぜんぜんエンジンに元気がなかったけれど、それでもフェラーリの味わいの濃さはケタはずれで、NSXプロトがただの乗用車に思えてしまった。あの時乗り比べた者の多くがそう思ったはずだ。

 その後NSXは、エンジンをDOHC化するなどの改良を加えられて発売されたけれど、やっぱり乗用車の延長線上のクルマで、スーパーカーとしては何もかもが物足りなかった。

 エンジンは「回るだけ」で刺激が薄かったし、操縦性の良さは、限界まで攻めないと味わえない。インテRならあれで良いんだけれど、スーパーカーはその延長線上じゃダメなのだ。

 NSXを心から絶賛したのは、サーキットが主戦場のレーシングドライバーだけだと私は思っている。

 フェラーリ崇拝者から見ると、NSXはフェラーリの踏み台。多くのクルマ好きが「フェラーリは無理だから」とNSXを買い、その後、根性のある者はフェラーリへと乗り換えた。その時みんなこう言いました。「やっとホンモノが買えました!」と。あの優秀な操縦性も、F355に取り入れられた。

 もちろん、NSXファンはフェラーリと比べたりしないでしょうけれど、公道で乗り比べれば、刺激レベルは一ケタ違う。それは、15年間で1万8000台という販売台数に表れている。値段の高いフェラーリのほうが、台数もはるかに売れたのです。

■Z/1998年登場

1998年登場のホンダ Z。普通の軽自動車のエンジンをただ真ん中に置いただけの不思議なクルマだった

 これはホンダ史上最悪に近い珍作だ。フツーの実用的な軽自動車のエンジンをミドシップにしても、スペースユーティリティが悪くなるだけで、利点はあまりない。後席は床面が一段高くて狭苦しいし、腰高で別に操縦性がいいわけでもなく、ホントに変わったクルマでした。

 なぜミッドシップにしたのか、いまだに理解できないのだが、開発陣の頭には、ミッドシップのアクティが好評だったことがあったのでしょうか?

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