今後10~15年はフルHVが強力な“ショートリリーフ”に
逆に考えるなら、それでも80%は依然としてエンジン車を買っていると言うこと。なかでも「1日の走行距離が長い、働くクルマ」の電気自動車化が難しい。
「タクシーをどうするのよ?」みたいなことになると、電気自動車じゃ運用上厳しい。はたまた「広いキャビンスペース持ちながら燃費良いクルマ」となれば、もうフルハイブリッドしかない。
違う観点から見たなら「80%がエンジン車という現在」と「近い将来のカーボンフリー」を繋ぐため、安価で実用的で二酸化炭素排出量少ないパワーユニットが必要だということ。
あと10~20年すれば電池技術など大きく進化し、電気自動車もモノになることだろう。けれど、今日と明日のパワーユニットをどうするって話です。
何度も書いてきたとおり、2021年CAFEすら相当厳しい。大半の自動車メーカーは既存のエンジン搭載車に電気自動車を混ぜ込んでいくことで規制をクリアしようとしている。
けれど前述のとおり電気自動車の普及が進んでいない。そんなことから現実的な「対応策」をどうしようかという動きが、世界規模で出ているのだった。
わかりやすく説明すると「電気自動車の時代を迎える直前の今後10~15年は燃費良く現実的なフルハイブリッドが絶大な売れ行きを示す可能性が出てきた」。
ちなみにヨーロッパで主流となっている48Vの簡易型ハイブリッド(編注:いわゆるマイルドハイブリッド)は、燃費改善効果という点で効果が薄いため厳しい。中国など2035年でフルハイブリッド以外は販売禁止にしたほど。
ハイブリッドはいつまで生き残る?
そんなことからフルハイブリッドは、強力かつ有望なショートリリーフになりそうな流れになっている。
我が国の場合、2030年代半ば以降に登場する新型車はすべて電気自動車か燃料電池車になると思う。けれど、そこまでの主役は間違いなく安価で選択肢の多いフルハイブリッドになるだろう(電動化車両のため東京でも売れる)。
ヨーロッパは前述のCAFE達成のためハイブリッドが有効。実際、トヨタのみ電気自動車をラインナップしていないのに2021年のヨーロッパCAFEをクリアできる。
ただ日本勢以外、燃費の良いフルハイブリッドを作れるメーカーがなく、しかも今から開発したって手遅れ。電気自動車に猛進するだろう。日本勢、有利です。
アメリカも環境問題に一切興味なかったトランプ政権からバイデン政権に変わり、厳しいCAFE(そもそもCAFEはアメリカが考えた規制)を打ち出すと思う。こいつに対応しようとすればハイブリッドがベストの答えになる。
アメリカも今後10~15年はフルハイブリッドが重用されることだろう。バイオ燃料使ったハイブリッドも見直される?
中国は「2035年から電気自動車半分。フルハイブリッド半分」という明確な規制を発表。西側諸国より確実に履行されるだろう。
現時点で実用的なフルハイブリッドを作れるメーカーは世界中で日本の3社のみ。政治的に作られる経済断絶さえなければ、トヨタと日産、ホンダの技術が中国で広く普及していくと考えます。
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