■欧州勢と同じ土俵に立てるプレミアムサルーンは作れる “設計図”はすでにある
例えば私は日産GT-Rでは「マルチ・パフォーマンス・スーパーカー」という世界に例のない独自のスーパーカーを創りました。
しかしスーパーカーの定番要件である「速さや高性能や先進的パワートレーン位置」などは競合車以上にしたうえ、デザインは黄金分割分析による不変的なスーパーカー・プロポーション要件を織り込みました。
これにパッケージ性能及び空力など設計の基礎要件を織り込んだ「デザイン設計」をした後に、造形に提示してデザイン開発をしました。
さらに空力開発用のムービングベルト風洞の現場で、担当デザイナーには性能や機能に裏付けされたデザインをしてもらいました。
本当に収益性の高い、購買世代の交代を含めたプレミアムセダンを売ろうとする時、昔との違いは競合車は国産だけでなく欧州車も同じ土俵にいることです。
SUVのようにユニークさや奇抜さのために土俵が違う商品と違い、プレミアムセダンはヒエラルキーに基づいた同じ土俵で選択されるのです。
しかし日本の自動車メーカーの開発スタイルはアメリカ型の組織や運営で「個人の能力やノウハウやチーム力より、組織としての効率や規格化」を求めています。
部署を縦割りにした開発実行部隊と、横刺しのスタッフ管理で運営されているために、車両全体を見通せる技術や機能&性能コーディネートといったノウハウの部分は、人材の育成を含め手薄になっています。
しかし欧州ブランドメーカーは昔の日本の徒弟制度のような人材育成コースによって、キーパーソンの能力研鑽を進め、車両全体のコーディネートや管理技術を構築しています。
これによりプレミアムセダンといえども、プラットフォームやデザインの共用化は日本以上に進んでいますし、車種の開発数やスピードも向上しています。
今一度国内の販売状況を思い出してください。プレミアムセダンはベンツやBMW、アウディなどのドイツ勢はしっかりと売れています。
日本のクラウンはモデルチェンジで販売台数を落とし、レクサスLSもしかりです。ホンダレジェンドや日産のフーガやシーマなども散々です。
プレミアムセダンの価値と本質に戻りドイツ車と違うプレミアムなサルーンを創ってほしいと願います。
私の頭の中に設計図はあります。
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