“限定”はレジェンドも切実な理由が……!? 「台数限定車」の裏事情


■限定生産は安全性向上のための手段!?

ホンダ センシング エリートを搭載したレジェンドは100台限定生産として登場した

 特別仕様車ではないが、ホンダセンシングエリートを搭載するレジェンドも100台の限定生産だ。2021年3月4日に発売され、4月下旬時点で約70台が契約されたという。

 高速道路上の渋滞(作動速度の上限は時速50km)では、いわゆる自動運転レベル3を可能にした。この時にインパネの高い位置に装着された車載モニター画面で、TVやDVDなどを鑑賞するなら支障はない。

 また運転支援機能としても、ドライバーがステアリングホイールを保持しないハンズオフ制御を幅広い領域で実施できる。予めスイッチを入れておくと、先行車に追い付いた時の車線変更も自動で(ドライバーがステアリングホイールを保持しない状態で)行う。

 ただし価格は1100万円で、契約は3年リースのみだ。販売店によると「リース料金は1カ月に約29万円」だから、3年間(36カ月)であれば1044万円に達する。これだけの金額を支払って、3年後には車両を返却せねばならない。

 100台限定とした背景には、ホンダの「大量に売りたくない」意図があるようだ。ハンズオフを車線変更まで含めて長時間にわたり継続できる制御も含めて、ホンダセンシングエリートは未経験の技術だから、何が発生するかわからない。

 例えば先般、北米で起こったテスラの死亡事故では、運転席にドライバーが座っていなかった可能性も指摘されている。動画サイトを見ると、運転席に誰も座らずに、テスラがオートパイロットによって走行している動画も掲載されている。

 きわめて危険な誤った使い方だが、世の中には、このように利用するユーザーも存在するのだ。現在の技術では、ドライバーに運転を戻すこともあるから、すべてを車両に任せられる水準の自動運転ではない。前述の誤った使い方で交通事故が発生した場合も、責任はドライバーに生じる。

 それでも上記のような使い方で人身事故の加害者になれば、メーカーが道義的な意味において、社会的な責任を問われることは充分に想定される。なぜなら限定された「条件付き」としながらも「自動運転車(限定領域)に適合する」とホンダが説明しているからだ。

 従ってレジェンドのホンダセンシングエリートも、複数の安全機能を備える。万一故障が発生した時は、通信機能によってメーカー側が把握できる。

 そして100台の限定販売であれば、最悪の場合、全車両の走行を停止させて回収することも可能だ。つまりレジェンドハイブリッドEXホンダセンシングエリートの100台限定は、システムの安全性を高める最終手段として機能する。

■同じ『限定車』でもさまざまな理由が

100台限定で販売されたベンツ特別仕様車 GLC 220 d 4MATIC クーペ マグノナイトエディション

 このほか輸入車も特別仕様車を台数限定で用意することが多い。メルセデスベンツの販売店では以下のように述べた。

 「GLCクーペには、マットグレー(艶消し塗装)の特別仕様車を限定100台で設定した。100台ならば希少性も感じられ、特別なクルマという印象も強まる。またマットグレーの色彩は、手入れにもコツが必要で、大量に販売できる一般的な色彩ではない。そこで台数を抑えた。

 また装備をシンプルにして価格を下げた特別仕様車を設定することもある。販売に弾みを付けるカンフル剤としては有効だが、長く売るとブランドの安売りになってしまう。そこで販売台数を抑える」。

 以上のように販売台数を限定する背景には、さまざまな理由がある。あえて希少性を狙う特別仕様車もあるが、最近はもっと切実な「たくさん売るのは難しい」という理由で台数を抑えることが多い。

 台数を限定した特別仕様車などを設定する背景には、クルマ業界の現状も色濃く反映されている。

【画像ギャラリー】なぜ台数限定!? もっと売れそうなクルマもあるのに……限定車のカラクリに迫る!!